大きな都市の渋滞や排気ガス問題を解決するシステムとして生まれた、バス・ラピッド・トランジット（bus rapid transit：BRT）の一つである。BRTはバスを基盤にした大量輸送システムのことで、古くは1974年にブラジルにRITの名で生まれ、その後世界に広がった。南米はBRTの最も発達した地域で、現在約60の都市にあると言われている。

ボゴタのトランスミレニオは、2000年12月にカラカス通りと80番通りの間をつなぐ交通として生まれた。その後路線を増やし、2013年 には12路線150駅となり、世界最大のBRTとなった。路線図を見ると地下鉄のように各路線が連携され、「地上の地下鉄」と呼ばれる所以でもある。

"TransMilenio Bogota Map"（トランスミレニオのルート地図）

バスは燃費がよく、環境に負担の少ない技術を駆使したディーゼルエンジンで、二連結車両、約270人が乗車できる。ディーゼルエンジンは、ブラジルとコロ ンビアを本拠とするマルコポーロ・スーペリア、ドイツのメルセデス・ベンツ、北欧のボルボなどが提供している。

中央通りの真ん中に駅があり、専用車線が四つ、乗客は歩道橋を渡って道路中央の駅まで行く。各駅停車と急行があり、１回の乗車に1700コロンビアペソ （約100円）かかる。乗客はスマートカードで改札を通り、駅にバスが着くとドアが一斉に開く、地下鉄方式。プラットホームとバスのフロアは同じ高さ（バ リアフリー）で、ハンディキャップのある人が乗降しやすいよう、ホームと乗車口の間に傾斜路の設置もある。

1000台を超えるバスを効果的に動かすため、コントロールセンターが市内に設置され、そこからバスの運転手に指令が送られる。またトランスミレニオの各駅には大きな駐輪場が設置され、駅周辺の自転車道や歩道も整備されているという。

ボゴタの交通は、以前は連携のない民間のミニバスが主だった。高架道路で市内を結ぶ案も当初あったが、ボゴタ市長になったエンリケ・ペニャロサ（1998 年～2001年の任期）がそのプロジェクトを解消し、もっと安価にできる地上バス網を敷いた。2012年10月時点で1400台のトランスミレニオのバス がボゴタの街を走っているが、加えて410台の通常車両のグリーンの支線バスがそれを補助している。主要駅から先のトランスミレニオが通っていない地区に 乗客を運ぶ役割を担っている。専用車線はないものの、このバスに乗り換えても追加料金はない。

トランスミレニオのネットワークに属さない民間のミニバスがあり、開始当初、運転手たちに対してペニャロサ市長が自ら新交通網との協調を訴えることもあったが、ボゴタではミニバス運転手たちのデモが何回か起きている。

ニューヨークタイムスの記事「Bogotá's New Transit System」
Bogotá's new B.R.T. (bus rapid transit) public transportation system moves millions of passengers each day on bright red vehicles that course along dedicated lanes, avoiding the dense gridlock that clogs many roads in this city of 7 million.
Credit: Scott Dalton for The New York Times

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Buses articulados TransMilenio en Avenida Caracas
by mariordo59
Taken on April 27, 2012