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#1 作品集「ちち」について
   ミヤギユカリ

(ちち)を描きはじめたときは、わたしにとって大変な挑戦でした。第2作目となる自費出版本はそれまでの自分の絵のタッチをできるだけ削ぎ落としたもので描きたかったからです。それは、1本の線で描けるのなら1本の線だけで、、、から始めたのでした。その挑戦(試み)は最初、苦痛でした。でもだんだん苦痛も和らぎ面白さに変わり始めた頃何かに導かれるかのように(ちち)の大地に辿り着いたのでした。そしていっぱい描きました。この絵によって私は学びました。1本の線が教えてくれた事は今も続いています。第3作目の(ambrosia)に。

1992年よりフリーランスのイラストレーターとして仕事をはじめる。
書籍、雑誌の挿画のほか、広告媒体、アパレルブランドとのコラボレーションも手がける。作品集に「Reminiscence」(1998年)、「ちち」(1999年)、「ambrosia」(2002年)がある(以上、自費出版)。2004年、スイスのインディペンデント出版社Nieves からzine シリーズの1册として「Kaguya, the bamboo princess/竹姫物語」を出版。最近の出版物としては「Rabbit and Turtle」(2005年/Nieves and Happa-no-Kofu) 、「シカ星」(2005年/葉っぱの坑夫)がある。また、絵を担当した広尾の壁画の写真集「Town Dream / Dream Town - ミヤギユカリの壁画アート - 」(写真:田中均明、2007年/葉っぱの坑夫)も出版された。追記:「AKAZUKIN」(2008年/Nieves and Happa-no-Kofu)出版。
ミヤギユカリ・ウェブサイト(2007年4月スタート)
☆ウェブの連載作品「雨の降らない土地」に絵を提供(2008年7月〜)

主な仕事:
広告: EDWIN, NIKE Japan, JR東日本, イッセイミヤケ など。
雑誌: 「Esquire」「relax for girls」「Ginza」「流行通信」「Coyote」「Lingkaran」など。
新聞: 朝日新聞 be Extra
書籍: 木坂涼「刺繍日記」(挿画/2005年、理論社)、「水玉」「ストライプ」 (共著/2005年、ピエ・ブックス) など。
(2006年12月現在)
#3 ミヤギユカリ新作情報へ

海外雑誌への掲載:Les Cahiers Purple(2009、フランス), Art and Design Magazine(2010、中国)

#2 エディターから

ミヤギユカリさんの作品集「ちち」に出会ったのは、2002年の夏のこと、東京・渋谷のアート系書店プロジェットでのことでした。ポートフォリオスタイルの白いボール紙のカバーをひらくと、わら半紙色の紙に赤い線だけで描かれた、荒野のランドスケープがあらわれました。もしかしたらそのとき、わたしは「あっ」と声をあげていたかもしれません。なつかしさと、好奇心と、シンパシーで、胸がいっぱいになりました。わたしがここ2、3年、翻訳しつづけているアメリカのサウスウエスト文学の世界に直結してる、と感じたからです。5枚ずつじゃばらスタイルでつづられた絵を、ひとつひとつ開いていくと、どことはしれない荒涼とした風景や原始の動物たち(のようにわたしには見えた)がつぎつぎにあらわれました。赤い線だけで描かれたシンプルだけれど強い表現、現実の時間や場所からはかぎりなく自由でありながら、たしかに地球のどこかに存在すると思わせる不思議なリアリティ。アメリカ・インディアンの詩集「シカ星」と「ちち」が結びつくのに、時間はかかりませんでした。

その後、詩集の打ち合わせでミヤギさんと電話で話していたとき、「ちち」がジム・ジャームッシュ監督の映画作品のほんのワンシーン(汽車の窓から見えたランドスケープ)に題材を得たものと聞いて、とても驚きました。その映画は、アメリカの西部開拓のころを描いた作品で、場所も時代も「シカ星」のバックグラウンドとぴったり重なっていたからです。(だいこくかずえ)

ミヤギユカリ作品集「ちち」(1999年出版/500部限定/表紙19.8cm×26.7cm/定価1000円)
*作品集「ちち」は2003年4月をもって完売しました。

#3 ミヤギユカリ 新作

06. 「AKAZUKIN
   ミヤギユカリ・絵
   (2008年11月、Nieves & 葉っぱの坑夫より出版)

05. 広尾ガーデンフォレスト 建設現場の仮囲い壁画
   ミヤギユカリ・絵、服部一成・デザイン
   (2006年10月撮影、写真:田中均明)
*この壁画を撮った写真集が葉っぱの坑夫より発売となりました。
Town Dream / Dream Town - ミヤギユカリの壁画アート - 」(写真:田中均明、2007年/葉っぱの坑夫刊)

04. 「Rabbit and Turtle
   ミヤギユカリ・絵
   (2005年10月、Nieves & 葉っぱの坑夫より出版)

03. 「シカ星 - アメリカ・インディアンはうたう -
   メアリー・オースティン・詩、ミヤギユカリ・絵
   (2005年9月、葉っぱの坑夫より出版)


02. 「刺繍日記」 木坂涼・詩、ミヤギユカリ・絵
   (2005年4月、理論社刊、1200円)

ひとつの詩にひとつの絵。アンソロジー詩集「刺繍日記」は、木坂涼さんの既刊の6册の詩集から選ばれた30の詩に、ミヤギユカリさんが詩を読みながら絵を描いていって1册の本になりました。

「きょうのわたしをすくいとる」と帯にあるように、日々のさまざま(洗濯、いっしょに暮らす猫、ちいさな虫や小鳥、父とのひとこま、読書の時間などなにげないこと)を題材にした短かめの詩がならんでいます。ミヤギさんの絵がその木坂さんのことばの広場で歌ったり、遊んだりしています。

詩をあまり読まない人にも、目に、心に、耳に、すっと入ってくる「詩の言葉」だと思います。詩人の周りのなにげない現実が、日常の普段つかっているような言葉ですっとかすめとるようにして書きとめられたような、そんな印象の詩が多いように思います。敏しょうな心の動きを感じさせる詩の言葉に対して、絵はゆったりと温かみのある、世界への優しいまなざしを感じさせる赤い線で描かれています。線がたどるの自由な足どりと、ことばが超えていこうする自由の羽ばたきが、空中で「こんにちわ」とにこやかに交差する瞬間に読む人は立ち合うことでしょう。

もくじから:一人の正しい使い方、鬱鬱、17才、ししゅう、耳飾り、うし、地球の午後、雨の日は鳥を、蜘蛛、水栽培、栞、転居通知、待ち合わせ、傘立てに他。全30篇。(リンクのあるものは詩が読めます。ウェブ版の_「17才」いろいろ_ は元詩の「17才」から発展したものです)
*「刺繍日記」の中身の画像をみる
別のページの紹介文を読む

●amazonのページで「刺繍日記」を見る

01. Kaguya, the bamboo princess(竹姫物語) 
   ミヤギユカリ・絵 だいこくかずえ・テキスト
  (2004年8月、Nieves 刊)

スイスのインディペンデントの出版社Nievesから、ミヤギユカリさんの「Kaguya, the bamboo princess(竹姫物語)」が出版されました。「竹取物語」をベースに、新しい解釈で描かれるかぐや平安絵巻。ラフでアーティスティックなあじわいの現代的なかぐやです。テキストはシンプルな英語で、葉っぱの坑夫のだいこくかずえが担当しました。
Nieves Books:
Kaguya, the bamboo princess
----------------------
32 Pages, Photocopied
14 x 20 cm
Numbered Edition of 100
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この本を数部ですが葉っぱの坑夫で取り扱います。ご希望の方は、order@happano.orgまでご連絡ください。1部750円程度(+送料120円程度)を予定しています。(詳細
「竹姫物語」は完売いたしました。同じものが川崎のアートブックショップPROGETTOでお買い求めいただけます。PROGETTOまでお問い合わせください。

PROGETTO
email: info@progetto.co.jp
〒210-0023 川崎市川崎区小川町4-1 LA CITTADELLA内
tel: 044-211-4616  fax: 044-211-4617
営業時間11:00〜21:00 無休


□ Nieves Books Exhibition
会期:2005年1月14日(金)-1月26日(水)
会場:ROCKET(東京・表参道)

スイスのインディペンデント・パブリッシャー Nieves が東京で展示をします。
「竹姫物語」を含め、去年1年間に出たzineシリーズ36册(3册×12ヵ月)に焦点を当ててその原画などを展示する他、ニーブスの他の出版物や特別企画のROCKET zine Seriesも出品されるそうです。
(zine シリーズ36册ボックスセットやポスターも発売されます。またNievesの主宰者が来日しオープニングレセプションも開かれます)

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