▽葉っぱの坑夫おすすめの本△ page 2

<大桑千花の本>

1)「エルサレム・クロック -- イスラエルの春夏秋冬
  大桑千花著 (2008年8月、産業編集センター、1300円)

グロスマンを読みながら」の大桑千花さんが「ロストラゲッジ」「クロアチアの碧い海」につづく3作目の本を出版されました。
旅に出るとき、その土地について書かれた本を探しますが、良い本に巡り会えることはそう多くはありません。旅行ガイドであれ、エッセイであれ、写真集であれ、もし、これは!という本に出会えたら、その旅は半分楽しいことが待っていることが約束されたようなもの。イスラエルとの最初の出会いから十数年、エルサレムに住むようになってからもいくつもの季節を越えてきた大桑さんが、イスラエルを美しい写真と心に響く文章で案内しています。旅のスタイルブックのシリーズなので写真が豊富で、読みやすく、日常の人々の様子や街の食べ物屋さん、リゾート地の風景など、旅する気分で読み進められますが、それだけではない。この土地の自然や人々、食べもの、その他もろもろへの深い愛が底に流れているので、読むことで、わたしたちが生きているこの世界を豊かに感じることができるのです。年月をかけて一人の人間が身をそこに浸し、生きることの中で知ったことが、旅の本、という形で惜しげもなく語られているとは、なんと贅沢なことでしょう。巻末にある「とんでもイスラエル人チェック」のヒューモラスにしてクリティカルなコラム、一見さりげなく撮られているけれど、重い問題をかかえるこの紛争地域を著者がどのような視線で眺めてきたかが現われているいくつかの写真、街で出会った人々との心温まるエピソードなど、「旅することが生きること」の著者ならではの視野の広さが感じられる、日本語で読めるまたとない旅の本、世界を知る本です。


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<ホアン・ホセ・パディヤの本> (Spanish Book)
'Latin boys go to hell'

著者:ホアン・ホセ・パディヤ
版元 QUORUM
判型: 13x21
ISBN: 8488599536
言語:スペイン語
出版年: 2003年
カバーアート:木村朝輝
Precio: 2.829 ptas/17,00euros/14,57$/5,722yen






この本の紹介の日本語訳
Latin Boys Go to Hell は、スペイン語で書かれた、この作家の最初の長編小説です。ホアンの最初の出版物は短編集<Palabras/words/ことば>で、これは文学賞受賞により出版されたものです。Latin Boys Go to Hell は、ニューメキシコを舞台に、ドラッグやセックスを通して描いた愛と友情の物語で、その狂気に満ちた旅の過程が詩的でユーモアに満ちた文章でつづられています。ニューメキシコの沙漠地帯の美しい日没のもと、一人の人間の醜さと美しさにせまるこの小説に、読者はきっと魅せられることでしょう。

*この本はスペイン語専門書店InterSpain(東京・渋谷)で取り扱っています。

ホアン・ホセ・パディヤ:作家、空想家、旅人、愛に生きる人。1972年スペイン、アンダルシアに生まれる。社会学と政治学をグラナダ大学(スペイン)、サセックス大学(イギリス)、ニューメキシコ大学(アメリカ)の三大学にて学ぶ。ホアンは現在、東京で、空想的で愛にみちた日々をおくっている。

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