▽葉っぱの坑夫おすすめの音楽CD△

<モンゴロイドたちの歌のCD>

◇サーミの「ヨイク」ミュージック◇
ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの4カ国にまたがって、サーミと呼ばれる人々が住んでいます。日本ではあまり知られていないようですが、European Indianとも時に呼ばれるサーミのオリジンはモンゴロイドだそうです。はるかヨーロッパの極北の地に住むサーミの人々の歌う「ヨイク」とはどんな音楽なのでしょう。

1) [the new voice of North]
(Girls of Angeli/アンゲリン・ティトット)
(Finlandiaより1998年8月18日発売)
●amazon.com(アメリカ)のCDのページで5曲が試聴できます
●このCDについて書かれたエッセイ(「もんごろねこの ちきゅうたび」第1話)を読む
<エッセイより抜粋>
アンゲリン・ティトット(このCD発売時はGirls of Angeli名)は、フィンランドのラップランド地方出身、ウルスラ&トゥーリ・ランスマン姉妹を中心とするサーミのユニット。[the new voice of North]は、伝統的な声だけのヨイクはもちろん、パーカッションをフィーチャーした躍動感溢れるヨイク、シンセサイザーによる幻想的な雰囲気のものや、フォーキーなアレンジのものなど、新しいスタイルも盛り込んだアルバムになっています。




2) 「エイト・シーズンズ」(マリ・ボイネ)
  [Eight Seasons] Mari Boine
(ユニバーサールクラシックより2002年4月24日発売)
●amazon.co.jpで「エイト・シーズンズ」を見る
●amazon.com(アメリカ)のCDのページで5曲が試聴できます
(Windowsでは試聴できますが、Macではなぜかダウンロードできませんでした)
●このCDについて書かれたエッセイ(「もんごろねこの ちきゅうたび」第2話)を読む
<エッセイより抜粋>
マリ・ボイネは、ノルウェーのサーミを代表する女性シンガーと言われています。[eight seasons] は、通算10作目のアルバム(日本国内盤としては初リリース)。エレクトロニックな音と、ネイティブな音が、ロドリーグの言う「いいバランスで混在」し、ちょっと影がありながらも大きなビート感が心地よい作品です。ジャケットやレーベル面も、シルバーや白が基調のデザインでステキです。




◇アメリカ・インディアンをルーツとする音楽◇

3) [MUSIC FOR The Native Americans]
(Robbie Robertson)
(Capitolより1994年10月4日発売)
ココペリのサイトのCD/COMPILATION/No.37で、5曲が試聴できます
●このCDについて書かれたエッセイ(「もんごろねこの ちきゅうたび」第3話)を読む
モホーク族の血をひくアーティスト、ロビー・ロバートソンによるザ・バンド後のアルバム。テレビのドキュメンタリー番組のサウンドトラックでもあり、ワレラ(チェロキー族)、ウラリ(タスカローラ族、ヤキ族)、カシュティン(カナダ・イヌー族)他、ネイティブのアーティストが多数参加しています。トラディショナルな印象の曲や、インディアン・フルートもフィーチャーされています。





4) [Contact from the Underworld of Red Boy]
(ロビー・ロバートソン/Robbie Robertson)
東芝EMI (1998/03/11) / 洋盤 Parlophone(1998/03/02)
ココペリのサイトのCD/COMPILATION/No.45で、5曲が試聴できます
●amazon.co.jpでこのCDの洋盤を見る
●このCDについて書かれたエッセイ(「もんごろねこの ちきゅうたび」第3話)を読む
<エッセイより抜粋>
ロビー・ロバートソン個人の名前でリリースされていますが、内容は(3)の[MUSIC FOR The Native Americans]よりも濃くなっていて、リタ・クーリッジ(チェロキー族)らネイティブのアーティストのみならず、ヨーロッパのアーティストも参加しています。
また、5曲目の[Sacrifice]では、オグララ・スーの居留地で起きたFBI射殺事件の犯人として不当に裁かれ、現在にいたるまで監獄で暮らしているLeonald Peltier本人のヴォイスをフィーチャーしています。




5) [Under the Green Corn Moon: Native American Lullabies]
インディアンの子守唄(アズテック、カイオワ、ナヴァホ、ホピ、ポーニー、オグララ・スー、オネイダ・イロクォイ…他)
ココペリのサイトのCD/COMPILATION/No.47で、5曲が試聴できます
●amazon.co.jpでこのCDを見る
●このCDについて書かれたエッセイ(「もんごろねこの ちきゅうたび」第4話)を読む
アメリカ・インディアンのさまざまな部族の子守唄を集めた作品集です。CDのブックレットにはそれぞれの歌をうたっている人たちが自分の子どもを抱いている写真があったりして、そしてその顔つきが、日本人ととても似ていることに驚かされたりします。男性による子守唄もいくつか録音されています。タオス・プエブロの若き父親ロバート(写真/CDの裏面)が娘を寝かせつけながら録音したという「Bpa-the'Bhup-OO」。これは草地の奥のシカの寝場所にできた凹みに咲く花、という意味で、娘の名前だそうです。

<エッセイより抜粋>
インディアンの子守唄を集めたアルバム[under the green corn moon]は、伝統的なものから、歌い手の家に伝わるもの、教訓を含むものなど、多様な子守唄を聴くことができる1枚です。また、さまざまな楽器を用いて、シンプルながらも聴きやすい、雰囲気をイメージしやすいアレンジがほどこされています。日本の子守唄というと、どうしてかちょっともの悲しい、あるいは淋しいイメージがありますが、このアルバムに納められている曲はどれも、リスナーを温かく包み込んでくれるような、素敵なやさしさに満ちています。

   


6) [Orenda: Native American Songs Of Life]
 (Joanne Shenandoah/ジョアンヌ・シェナンドー)
  Silver Wave Records(1999)
ココペリのサイトのCD/VOCAL/No.11で、4曲が試聴できます
●amazon.co.jpでこのCDを見る
●このCDについて書かれたエッセイ(「もんごろねこの ちきゅうたび」第5話)を読む

曲目リスト:
1. Passage (Prelude) [(Across the Sky Prelude)]  2. Across the Sky  3. I Am Your Friend [Mohawk Standing Quiver Song] 4. Our Mind Is One [Mohawk Standing Quiver Song]  5. Creator's Song  6. Great Feathered Horse  7. In Love [Mowawk Rabbit Song]  8. All My Relations [Four Cousin Songs]  9. Four Legged Ones [Garter Dance Intro]  10. Garter Dance 11. Deer Dance [Garter Dance 2] 12. Life Giver [Mohawk Women's Dance]  13. You Are My Friend [Mohawkk Friendship Song-omega]  14. Hunting [Mohawk Stomp Dance]  15. Unity [Haudenosaunee Round Dance]  16. Prophecy Song

ジャケットのノートより:
2のAcross the Sky はグアテマラのマヤの人々のもとで生まれ、アメリカ南北両大陸のすべての部族の祖先のための歌となった。悲しみを癒す歌、とりわけ愛する者を失った人を慰める歌として歌われるそうです。
7の"In Love [Mowawk Rabbit Song]" のラビットソングというのは男女が組んで踊る活発な踊りの歌。ホデノショウニーの男たち女たちは歌い手たちの周りを回りながら、手を取り合います。モホークの長老はラビットダンスは蜃気楼みたいだ、と。それは踊りが、前に二歩、うしろに一歩、という風だから。この踊りは女たちがダンスのパートナーを選ぶため、そしてさらには恋人をさがす踊り、とも言われているそう。

<エッセイより抜粋>
さて、古レコード屋のおにいさんとロドリーグが、屋根の上の物干し場でお月見をしながら聴いていたのは、イロクォイ・オネイダ族のシンガー、ジョアンヌ・シェナンドーの[ORENDA]というアルバムです。このアルバムでは、シェナンドーのほか、モホーク族のローレンス・ラーフィングやプロデューサーのトム・ウェイジンガー、マーク・マッコインが参加して、シンプルながらもバランスのいい音世界を創りあげています。ちなみに[ORENDA]は、イロクォイの言葉で「全てのものの魂」を意味し、発音は「オールゥンダ」となるそうです。命を尊び、精霊とのつながりを祝福する穏やかな歌たちが収録された、ワタシも大好きな1枚です。(3号室ロドリーグ)

   


7) [Mahk Jchi]
Ulali/ウラリ
Thrush(1997/10/21)
ココペリのサイトのCD/VOCAL/No.97でこのアルバムが購入できます
●このCDについて書かれたエッセイ(「もんごろねこの ちきゅうたび」第6話)を読む

<エッセイより抜粋>
タスカローラ族とヤキ族の女性3人で構成されるアカペラグループ、ウラリです。メンバー一人ひとりのプロフィールもすごいのですが(3人とも本当にすばらしい才能&活動歴をお持ちです)、そんなすごい人たちが3人寄れば文殊の知恵どころではありません!
現代の音楽の要素も取り入れながら、しかし歌い継がれてきたインディアンのスタイルも大切にしている姿勢がよく分かります。声とラトルやドラムだけなのに、大迫力!聴かせてしまうのですから…引き込まれるのもムリありません。
ちなみに[Ulali]という名前は、さえずる鳥、ツグミをあらわすタスカローラの言葉からきているそうです。その名にふさわしく、本当に鳥のように時にやさしく、ときに力強く、心揺さぶる歌声を聴かせてくれます。タイトルチューンでもある[Mahk Jchi]は、前述のロビー・ロバートソンのアルバム[music for the Native American]にも収録されていますが、彼女たちのこのアルバムではドラムとヴォーカルだけというシンプルな構成で歌われています。(3号室ロドリーグ)

   

ウラリのMahk Jchi他、聴けるサイト


8)JVCワールドサウンズシリーズより
極寒の歌声(氈jイヌイットの歌
ビクターエンタテインメント(2000/07/05)
極寒の歌声()イヌイットのドラムダンス・ソング
ビクターエンタテインメント(1997/08/21)
●amazon.co.jpでこのCDを見る(I)(II)
●このCDについて書かれたエッセイ(「もんごろねこの ちきゅうたび」第7話)を読む

<エッセイより抜粋>
(氈jの方には、カナダのケープ・ドーセットのイヌイットに伝えられる、カタッジャックと呼ばれる「のど遊び」歌が収録されています。アイヌにも見られるといわれるこの歌唱法は、息を吸ったり吐いたり、声を出したり出さなかったり、その組み合わせで作るフレーズをくりかえし歌い、2人で声のおいかけっこゲームのようなことをするものです。(団体戦もあるそうですよ!)()のアルバムには、カナダ北西部のイヌヴィックと、カナダ北極圏のイヌヴィアルイトという地域の人々によるドラムダンスの歌が収録されています。丸い木枠にトナカイの皮を張った「キラウト」という片面の太鼓を用います。ライナーによると、近年、若い人たちがドラムダンスをやるようになってきているそうです。日本でも和楽器が若い人の注目を集めているので、何だかシンクロしてるなあ、なんて思ってしまいました。(3号室ロドリーグ)

   

*このCDは一部、試聴ができます。
極寒の歌声
極寒の歌声()


9) [This Child]
(スーザン・アグルカーク/Susan Aglukark)
東芝EMI(1995/09/06) / 洋盤 Emi Int'l (1996/09/26)
●amazon.co.jpでこのCDを見る
●このCDについて書かれたエッセイ(「もんごろねこの ちきゅうたび」第8話)を読む
<エッセイより抜粋>
今回取り上げたスーザン・アグルカークですが、カナダのイヌイットのシンガー、という情報しか手元にありません。先住民会議とか国連とかでも活躍していると小耳にはさんだこともあるのですが、未確認のままです。また、アルバムもこの[This child]のほかにまだ作品がリリースされているのか、それも情報がなく、ワタシ的にはある意味謎の多いアーティスト?になっています。
で、このアルバム[This child]ですが、狩りを通じて成長する少年を歌ったものや、祝いの歌といった、彼女のルーツを感じさせる楽曲のほか、家族や友人?への思いを綴った、パーソナルな曲も収録されています。歌詞はほとんどが英語で、またサウンドも全体的にはとてもキャッチーなので、パッと聴きは普通のポップスのようです。しかし、歌詞の内容はもちろん、音の面でも、前述のカタッジャックのコラージュなど、民族を意識したアプローチが「さりげなく」されています。
とにかく、歌の内容と清らかなヴォーカルがとてもステキな1枚。何も情報を持たないけれど、ワタシ、ファンです(笑)



*このCDは一部、試聴ができます。
Susan Aglukark Online/Discography/This Child


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