▽葉っぱの坑夫おすすめの音楽CD△

<モンゴロイドたちの歌のCD 2>

10) [Soul of Aymara](ワールド・ミュージック・ライブラリー97)
(グルーポ・アイマラ/Grupo Aymara)
*amazon.co.jpでのアルバムタイトル
 ボリビア・アイマラのフォルクローレ 伝説の宴
キングレコード(1999/08/06)
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●このCDについて書かれたエッセイ(「もんごろねこの ちきゅうたび」第9話)を読む
<エッセイより抜粋>
今回ロドリーグが語っているのは、ボリヴィア・アイマラ族の「グルーポ・アイマラ」のアルバムです。
フォルクローレと聞くと、ケーナにギターやチャランゴというイメージがありますが、ワタシたちの思うフォルクローレは、彼らの中では「ネオ・フォルクローレ」と呼ばれるそうで、より土着的なものは「ムシカ・アウトクトナ」と言うそうです。
グルーポ・アイマラは、自分たちの音楽的伝統の良さを発見し、もっと世界に発信しようと集まったアイマラ族の音楽家たちによるグループで、この「ムシカ・アウトクトナ」を得意としています。
ボリヴィア各地で音楽のみならず、生活や風習など多岐にわたり研究し、伝統のスタイルを大切にしているそうです。
ロドリーグも言っていますが、哀愁を帯びたフォルクローレというよりも、むしろ元気と安らぎをくれるような、パワフルなサウンド。自然のリズムや、畏敬の気持ちがそうさせるのでしょうか、笛の音ひとつとっても、とても風格のある感じがします。
ケーナやサンポーニャはもちろん、ワカ・ティンティス、モセーニョ、イミージャ、ピンキージョス、タルカ、シーク、プトゥトゥなど、様々な笛のファミリーが季節や曲ごとに登場するほか、ワンカラ、ボンボといった太鼓にカウベルや鈴、ラトルのような音も聞こえてきます。「コンドルは飛んでいく」のようなフォルクローレに親しんでいるワタシにとっては新しい発見でした。



*このCDは一部、試聴ができます。
Grupo Aymara [Soul of Aymara]


11) [voice of Puyuma]
  (Samingad)
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●このCDについて書かれたエッセイ(「もんごろねこの ちきゅうたび」第10話)を読む
<エッセイより抜粋>
サミンガは、北京語の紀暁君という名前も持っている、台湾原住民のプュマ族のシンガーです。プュマ出身のシンガーは台湾では結構多いようですが、サミンガは現代的でありながらも、ルーツやアイデンティティを全面的に打ち出して大切にしている、実にかっこいい女性シンガーだと思います。ルックスもとても美しく、目が凛としていて、ライブでは自分か家族のお手製の民族衣装を着て歌うのだとか。日本のアイヌとの交流も積極的に行っているのだそうです。
今回紹介したアルバムでは、全体のアレンジは今風で、歌い方も曲によってはフォーキーだったりソウルフルだったり。それでもやっぱり、伝統を中心に据えているのがしっかり感じられます。収録曲はプュマの伝統歌謡の他に、反戦歌のようなメッセージ性の強い曲や、同じプュマ族のシンガー・ソングライターの曲も含まれています。5曲目の「電話を鳴らす」では、子どもの頃の彼女の声がフィーチャーされていて、これにはちょっとキュンとくるかも。
原住民にはクリスチャンが多いそうで、幼い頃から賛美歌など歌う機会が多いのだそうです。サミンガの場合はさらに、祖父母が伝統歌謡の歌い手であることも影響しているのでしょう、とにかくどの曲にも共通して言えるのは、その艶やかな声、豊かな声量と表現力、そして存在感。本当に朗々と歌い上げているので、聴いているこちらも、なんとも清々しい気分になります。




12) [Circle of life]
  (Difang/郭英男)
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●このCDについて書かれたエッセイ(「もんごろねこの ちきゅうたび」第11話)を読む
<エッセイより抜粋>
台湾のアミ族、Difangのアルバムです。一緒に歌っているのは同じアミ族の馬蘭吟唱隊。
Difangの歌声は、アトランタ・オリンピックのテーマ曲になったエニグマの[return to innocence]にもフィーチャーされていたり(実際には著作権侵害問題で訴訟もあったそうですが)、癒し系ミュージックのコンピレーション・アルバム「イマージュ2」にも収録されているので、耳にしたことのある方も多いはず。正式な世界デビューが、78歳で作ったこの[Circle of life]というから、そのツヤのある伸びやかな歌声には本当に驚きです。
農作業の合間に、若い人たちに歌を教えることを生きがい、楽しみとしていたというDifangは、2002年3月、81歳で亡くなるまで、その声を世界に届け続けました。
ちなみに没後、台湾行政院から初の特別賞「国家民族芸師」を授与されています。
郭英男(かく・ひでお)というのは、Difangの日本名だそうです。2002年3月29日に亡くなっています。




13) [the music of tuva]
  (Ay-Kherel/アイ・ケレル)
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●このCDについて書かれたエッセイ(「もんごろねこの ちきゅうたび」第12話)を読む
<エッセイより抜粋>
今回聴いたアルバムはトゥヴァのグループ、Ay-Kherelの[the music of tuva]。
Ay-Kherelは1994年から活動を始め、トゥヴァの5種類の喉歌(ホーメイ・カルグラ・シグット・ボルバンナドイル・エゼンギレール)と伝統楽器の演奏で、カナダやアメリカ、ドイツなど、海外でも評価が高いグループだそうです。
アルバムには、自然とのつながりや祈りの心を歌ったもの、ラブソング、語り継がれてきた物語を歌にしたものなどが収められています。曲調がバラエティに富んでいるだけでなく、伝統的な楽器や楽曲なのに古臭さを感じさせないのも魅力。1曲1曲はもちろん、全体としても十分堪能できるアルバムだと思います。



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14) [モンゴルの歌 草原のオルティン・ドー]
(ナムジリーン・ノロヴバンザト他)
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●このCDについて書かれたエッセイ(「もんごろねこの ちきゅうたび」第13話)を読む
<エッセイより抜粋>
今回のアルバムは、キング・レコードのワールド・ミュージック・ライブラリーシリーズの「モンゴルの歌−草原のオルティンドー」です。世界的に有名なモンゴルの歌い手、ナムジリーン・ノロヴバンザトを中心に、モンゴル国内外で活躍する演奏家のプレイを聴くことができます。
ノロヴバンザトと言えば、数年前のNHK大河ドラマ「北条時宗」のオープニングテーマ曲で耳にしたことがある人もいるかもしれませんね。あの独特の、力強い声…(女性の年齢をどうこう言うのはちょっとどうかなとも思うんですが)ノロヴバンザトは1931年の生まれですから、当時で既に70近くの歳で、あの声とは!その強靭な喉とあふれるパワーにただただ驚くばかりです。ちなみにこのアルバムは1992年の夏に録音されていますから…それでも60代ですね…年齢を感じさせない、本当に素晴らしい歌声です。
収録されている歌の内容は、家族や恋人を思う伝統歌はもちろん、山や湖などの自然を称えるもの、鳥や馬、羊が登場するものなど、モンゴルのランドスケープや草原での暮らしぶりがうかがえるものばかり。またこのアルバムでは、土着的な視点では実現することのない、異なった部族の音楽スタイルの融合という試みもなされているということで、「新しい伝統」をも感じることのできる1枚となっています。
ちなみにオルティン・ドーとは、「長い歌」という意味。ロドリーグも言っていますが、本当に風になびく、はためくような歌い方は、日本の民謡のこぶしのルーツなのでしょうか、とてもよく似た印象で親近感を覚えます。



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15) [South Pacific / Island Music]
(クック、トンガ、サモア、ソロモンなど南太平洋の島々の歌)
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●このCDについて書かれたエッセイ(「もんごろねこの ちきゅうたび」第14話)を読む
<エッセイより抜粋>
今回ピックアップしたのはnonsuch・エクスプローラーシリーズの[South Pacific/Island Music]というアルバムです。David Fanshaweが1970年代後半に、レコーダーと200本のテープを携えて南太平洋の島々を訪ね、収録した音源だそうです。豊かなコーラスワークの歌の数々はもちろんのこと、パワフルなパーカッションの演奏や、鼻で吹く笛やパンパイプの素朴な音色、アンサンブル、また生活の様子を思い起こさせるような、素朴でどこか懐かしささえ覚える歌やサウンドなど、バラエティに富んだ内容になっています。音の記録であるだけでなく、録音者の旅の記録でもあると言えるでしょう。南の島を訪ねたことのある人もない人も、録音者と共に旅をしている気分にさせてくれるアルバムだと思います。



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16) [Freedom]
( Yothu Yindi )
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●このCDについて書かれたエッセイ(「もんごろねこの ちきゅうたび」第15話)を読む
<エッセイより抜粋>
さて、今回はオーストラリアのアボリジニを中心とするバンド、Yothu Yindiです。ロックバンドでありながらも、アルバムの中に伝統曲を収めたり、伝統的なサウンドをフィーチャーしたりして、注目を集めてきました。オーストラリア政府観光局のCMソングとして、楽曲が使用されていたこともあるので聴いたことのある方もいらっしゃるかもしれません。
ロックやポップステイストの曲の間に、ディジュリドゥとクラップスティックと歌のみの伝統曲が突如登場したりして、本当に、その一瞬に古の世界に引き込まれるというか、むしろ逆に飛び込んでくるような印象もあって、とてもユニークです。
今回は [Freedom] というアルバムでしたが、このほかにも多くリリースされていて、音楽活動はもちろんのこと、アボリジニの文化を広く知ってもらうためのイベントやスクール・ツアーなども開催しているようです。
ヨス・インディのウェブサイト:
http://www.yothuyindi.com/index.html





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