無題


さとうかづみ


仕事帰りにはかならずひとつくだものを買って
その内側を想像することは
お風呂のなかでゆめみたり長電話したりするよりも
ずっとあかるい夜のおまもり
朝になったら傘を閉じるようにただ目をさまして
窓からくだものを投げ捨てる
お化けみたいな世界の中で居心地はあまりまだよくないけれど
今日も一日いられるように
なるべくひととはなしたりわらったりからだをよいことにつかったりよろこばせたりありがとうといったり
いろんなしゅるいのものをたべたりせいけつにしたりするの
こわしたりつくらなくていいものをつくったりたべすぎてくやんではいたりひとをけったりののしったり
ちらかしたりなきわめいたりねむりつづけたりするのではなくて
眩しい路上でつぶれたくだものが わたしにむかってひかってる
世界の中で



Copyright by Kazumi Sato



さとうかづみ

1977年11月28日 和歌山生まれ
岡山&北海道育ち 札幌で一人暮らし
法律事務所勤務
書いたり、撮ったり、上手くならないままとぎれとぎれ続けています。
2年前、7ヶ月で約20か国を巡る旅をして、自分が旅人向きではないことを知りました。
掲載していただいた詩?は10年前くらいに書いたものですが、
いまだに、自分の中にはこのような気分があります。

↓とある島に行った記録です。

http://alpha.bccks.jp/viewer/19120#



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