その感覚は、目の前のものを通して、どこかは分からないけれど、
別の世界にすっと入り込んでいくような感じで、
大人になるにつれ、自然と薄まってきたのだけれど、
いまだに、ふとしたはずみによみがえる時がある。

10年以上前、初めてチェコの古いアニメーション映画を、いくつか見た時、
自分の感じていた、別の世界のイメージを
形にしてくれているような印象を受けて、感動した。
かわいいものや、綺麗なものと、シニカルなもの、残酷なものをないまぜにして、
ユーモアで包んだファンタジー。
奇妙だけれど、軽やかで、美しい世界。
チェコに行けば、その世界につながれるようなものがたくさんあるような予感がして、
いつか訪れてみたいと願っていた。

実際にチェコの首都プラハに来たところ、思っていたよりずっと、観光地化が進んでいて、
街並は美しいけれど、均一化されてしまっている印象を受けた。
何を売っているのか、目指しているのか、分からないような店や、
使途不明な空き地、猥雑感漂う小路・・・
そういうぽっかりとした隙間のような場所が、都市から淘汰されて消えていってしまうのは、
なんだかつまらないと思ってしまう。

多分、プラハの街には、ここまでツーリスティックになる前には、
そういう場所やものがたくさんあったのだろうなあと感じられた。
プラハに限らず、世界中の近代化した街で感じたことではあるけれど。
 (つづきを読む)

23. 扉をひらく〜プラハ(チェコ)