インドネシアからやってきて一人旅の途中で、これからミコノス島に行くと言う。
これまでに撮った写真も次々と見せてくれるのだが、ものすごい量だった。
港に停まるたびにデッキに出て、また大量の写真を撮ってきては、レンズをすべて分解し、クリーニング。
あまりの熱意に驚きながら、相当なカメラオタクなんだな・・・と思っていた。

島に着いて、わたしと友達はあらかじめ予約していた、宿の送迎車に向かった。
そこにバックパックをかついだ彼が走ってきて、宿の場所も確認せず、
「まだ部屋空いてる?僕もそこに泊まるよ。」
と言った。
3人で宿にチェックインし、後で、夕日を見る名所の風車の広場で落ち合おうということに。

宿のある高台から、海を見下ろしながらぐるりと降りていく。
白い壁にカラフルな屋根の、おもちゃのような家が並ぶ。
パステルオレンジの夕日を浴びた風車のそばで、あたたかな色に染まっていく海を眺める。
こう書くとのどかな印象を受けるだろうが、実際には強風が吹き荒れていて、凍えそうだった。
冷え切っていたら、待ち合わせ時刻よりかなり遅れてユディが登場した。
彼は着くなり、話もせずに、夕日が沈んでいく海の写真をパシャパシャ写し始めた。
かがんだり、立ち上がったり、いろんな角度から。
これは生粋のカメラ小僧だなと思いながら、日も暮れてきたのでそばに行ってみるが、
もう相当数の写真を撮ったはずなのに、まだベストショットを狙って撮り続けている。
更に、わたし達に、立ち位置を細かく指定して、撮影を始めた。
三脚を持っていないことを悔しがりながらも、あちこち場所を移動し、撮りまくっている。 
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20. ある夜のメッセージ〜ミコノス島(ギリシャ)