わたしと友達は寒さに震えながら、その様子をただ見ていた。
案の定、日が落ち切る瞬間まで撮り切り、日没の瞬間、彼は写真を撮るのをやめ、わたしたちにむかって、
”I'm hungry!!!''と叫んだ。
えっ、ユディが写真撮ってるのをずっと待ってたのに・・・なにこの人、勝手すぎるとあきれたが、
彼はまたもやカメラを抱え、日没後の海を撮りつづけていた。
そして、しばらくして、やっと浜辺を離れ、ミコノスタウンの中に移動することに。
タウン内でも、撮影は続き、なぜそれを?というようなものですら、鬼気迫る真剣さでパシャパシャ。
すれ違う人にも、笑顔で声をかけ、すかさずパシャ。
撮られた人も雰囲気につられて、みんな笑顔に。
窓からの景色を撮りたいだけのために、カフェに入れてもらったり、相当強引なのに、
そのゴーイングマイウェイの貫きっぷりがだんだん清々しく思え始めた。

その後、彼はわたしたちに、ギリシャでよく見かけるピタサンドや串焼きをごちそうしてくれ、
クレープ屋に連れて行ってくれた。
友達が、「北海道に来たら、家に泊めてあげるよ」
と言ったら、ユディは、
「インドネシアに来たら、泊めてあげる。家に6部屋あって、1部屋づつ全部バスルームもついているから。
あ、ビルもあるからそっちでもいいし」
と言い始め、どういうこと?と思って、聞いてみたら、ユディは私と同じ年で、自分の会社を持つ、億万長者の実業家だった。
写真を見せてもらったら、立派な家の中で、女優のような奥さんと、3人の子供と一緒に笑う彼の姿があった。
 
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20. ある夜のメッセージ〜ミコノス島(ギリシャ)