世界中のいろんな国の階層を、世界中の人が数日づつ全部体験できたらいいのにと思う。
世界中が平等で格差がなくなることを願えばいいのかもしれないけれど、わたしはそれよりも、全部体験したいと思ってしまう。
王様みたいな生活も、ゲットーでの暮らしも。

メインストリートを行きかう人々を眺めながら、それにしても、恰好良い人が多いなあと感心した。
ぼろぼろの服を着ているけれど、身のこなしがスマートでなんだか洒落ているし、
ひとりひとりに独特の雰囲気も感じられる。
それを見ていると、日本でもジャマイカに夢中になる人が多いのが分かる気がした。
普通の日本人にはどうやっても身につかないだろう、身体の使い方と、ナチュラルなムード。
そんな人達が集まれば、自然といろんな隙間や流れが生まれて、簡単にロマンスが始まるだろうと思った。

宿のドライバーに連れて行ってもらった、極めてローカルなダンスホールは、照明もほとんどなく、ただの暗い小屋だった。
スロウテンポのオールディーズに合わせ、地元の人たちがラフな格好でリラックスして踊っていた。
それを眺めながら、そうか、この人たちの頭の中ではいつもこういう音楽が流れているんだ、と思った。
ジャマイカに来てから、車の中でも、ラジオからも、スーパーマーケットでも、どこでも流れてくるレゲエ。
曲調やテンポは様々でも、共通する感じ・・・
熱い曲でもどこか抑制されていて余裕がある感じだったり、刹那的できらきらした浮遊感だったり。
生まれた時から、そんな音楽に浸って生活すれば、あの独特のムードが身につくのも分かる気がした。
(つづきを読む)

18. ロマンチックをつくるもの〜モンテゴベイ(ジャマイカ)