友達とふたりパーティーの輪を抜け、暗く静まりかえった砂漠に上り、横たわってみた。
宝石箱をひっくりかえしたかのように、天球一面に瞬く星屑。
天の川の粒子も気が遠くなりそうなくらい細かく、きらきら輝いている。
ひとつひとつが異なった輝き方。星の砂場のよう。
流れ星も次から次に現れる。
昼間も、普段は見えなくても、いつでもこれだけたくさんの星に囲まれているんだと改めて思った。
自然は、素朴さだけではなく、こんなに眩しいくらいきらびやかな世界も用意してくれている。
それも、こんな砂と空しかないところに。
それは選ばれた誰かのためにではない。
そのほんのかけらだけでも、表現したり所有したくなって、どこの国でも、歴代の王達は、贅を尽くして、
お城や庭園を作ったり、宝飾品を集めたのかもしれない。
旅の途中に見たものを思い出して、そんな風に思った。

ほんの少し部屋で眠り、夜が明ける前に青白い砂の上に戻ると、深海の底にいるような気分になった。
空が少しづつ白んでくる中、らくだに乗って、砂漠を登る。
青いゆったりとした服を着たベルベル人の男性が誘導してくれ、砂の丘にしゃがむ。
夜があけて、砂にアラビア語で書いてくれたわたしたちの名前が、あたたかなオレンジに染まっていくのを
穏やかな気持ちでずっと眺めていた。

13. 砂と星のあいだで〜サハラ砂漠(モロッコ)