旅をしていて思い出したことのひとつは、わたしは雨が好きだったということだ。
子どもの頃は、雨音が聞こえると、家の中にいても窓を開けて雨が降る様子を眺めたり、
表に出て、濡れる葉っぱやかたつむりで遊んだりしていた。
雨があがった後のいつもと違う空の色や、雲の流れを眺めること。洗い流されたような空気の中、
水たまりを覗き込んだり、木々からこぼれる雫を観察すること。
そういうことがとても好きだったのに、ほとんど忘れかけてしまっていた。
(つつぎを読む)

12. 雨の中、旅ははじまる〜バンコク(タイ)