私たちはカルタヒマに2泊する予定だったため、この日、ロンダに戻るソンとはお別れ。
この村になぜ来たのかもお互いよく分からないままだったけれど、一緒に過ごせてよかったと名残を惜しんだ。
入れ替わりに今夜はアメリカ人とドイツ人の二組のカップルがやってきた。
こんなに辺鄙な場所なのに、毎晩予約が埋まっているようなのだ。

前日はボッツとあまり話せなかったので、いろいろ聞いてみたいと思っていた。
彼は絶対に元ロッカーだろうとふんでいたので、軽く音楽の話題を振ってみると、
目をキラキラさせ始め、パンクの歴史に関わる分厚い写真集を取り出して来た。
昔ロンドンの大学に通っていて、パンクスだったらしい。
その後、インドだとかあちこち旅をして、5年前まではアムステルダムに住んでいたと言う。
その経歴は、彼の醸し出すムードにぴったりで、腑に落ちたけれど、それにしても、
「何で今この村に住んでいるの?」
と聞いてみたところ、
「分からない・・・でも居心地がいい。」
と苦笑しながら首を横に振る。
 (つづきを読む)

11. 小さな白い村で〜カルタヒマ(スペイン) 後編