せっかく外に出たので、村を散歩してみる。
近所の教会に入ってみると、まだ新築独特の匂いのする、小ぎれいな内装だった。
掃除をしていたおばちゃんに、ソンがスペイン語で話しかけると、
内部をライトアップしてくれ、像をひとつづつ説明してくれた。
それをソンは日本語に通訳してくれる。

表に出ると、今度は道端で集ってるおじちゃん達のお喋りの輪に入り、
すっかり馴染んでいる様子のソン。
おじちゃん達に食べられる木の実のようなものをもらい、散歩を続けるが、
どんなにゆっくり歩いても、30分もかからず、部屋に戻る。
「・・・トランプでもしましょうか。」
ソンがボッツからトランプを借りてきて、なんとなくゲームを始める。
この旅最初で最後のトランプの出番だった。
この時、ボッツからトランプを使ったマジックを伝授されたのだが、残念ながら、全く思い出せない。

その後、ボッツの勧めで、この村の入り口にある村民プールを見に行く。
屋外の10メートルくらいの小さいけれど清潔そうなプールで、地元の男の子たちが泳いでいる。
カメラを向けると、意識してみんなザブンザブンと飛び込みを始めた。
真夏日の太陽のもと、レンズ越しに水しぶきが乱反射するのを眺めていると、
プールの情景が次第にスローモーションのように感じられ始め、なんだかぼんやりしてきた。
そもそもこの村がどこなのかもよく分かっていないし、ここで何をしているのだろうと思うと、なんだか可笑しかった。
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11. 小さな白い村で〜カルタヒマ(スペイン) 後編