鯉のぼり

作者不詳

1.
甍(いらか)の波と雲の波、
重なる波の中空(なかぞら)を、
橘(たちばな)かおる朝風に、
高く泳ぐや、鯉のぼり。

2.
開ける広き其の口に、
舟をも呑(の)まん様見えて、
ゆたかに振(ふる)う尾鰭(おひれ)には、
物に動ぜぬ姿あり。

3.
百瀬(ももせ)の滝を登りなば、
忽(たちま)ち竜になりぬべき、
わが身に似よや男子(おのこご)と、
空に躍るや鯉のぼり。



1913年(大正2年)に刊行された『尋常小学唱歌 第五学年用』が初出。作詞は不詳、作曲は弘田龍太郎(1892−1952)
(この歌を試聴する/「コヨミウタ1」01)

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