ある一日

神保健城

いちにちが 始まる

少しばかりの 喜怒哀楽を小出しに
流しつつ 流れて 流れて 流れて

日が暮れる 小学生さんたちは
元気よく 明日があることを
疑うことなく また、あしたね

夜がくる 静けさと車の走行音
クラクションに 野良猫の夕飯
民家に灯かりがともり 外へ
カレーや 魚の匂いを漂わせる

眠りの時間がやってくる
向かえの民家から じゃぶん じゃんぶんと
お風呂の 音がする 車の走行音
植物も眠りにつくころ
野良猫も 草むらのなかで眠りにつくころ

ひとり ビールを飲む。喉に瞬間 刺激がくる
溜飲が下がるってこういうことを言うのかな?

描いた絵を眺めつつ 展示の日を待ち望みつつ
うとうとと 布団にくるまり ひんやりした
枕と毛布 だんだん 暗闇に溶けていくの

ゆうらりゆらり 不思議な夢や不可解な夢
深い眠りと 浅い眠りを繰り返して

やがて空が おとなしい青になるころ
静かに目が覚めて もっと眠りたいと
思うけれども 珈琲を入れて 早い朝

ちゅん ちゅん と鳴るころ 新聞が
もうポストに入っているころ 朝だ
朝がやってくる

今日がはじまる 

感情を使いつつ 流れて 流れて 流れて
流れにさからいながら 泳いで 泳いで
今日も昨日とは 違う一日が はじまる



神保健城 1980年生まれ 
独学で独自の水彩画を描く画家 
詩は普段書かず日記を書く程度
個人ブログ http://yaplog.jp/takekij/
今後の展示 9月「夜と闇の囁き展」銀座ラメール
10月「blue rainbow
11月 デザインフェスタ出展予定


Copyright by Takeki Jinbo

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