「ベッドをつくるのに木が使えますから」
わたしはがっかりして口がきけない
でも穏やかにこう答える「この木は虫食いがあるの
家具には向かないわ。それに、ここの水は
枯れてきている。木を守らなくちゃ
水を呼ぶからね、地面の奥深くに植えるのよ
カトマンドゥの谷の水はもう枯れている
木は育つのに50年かかるの
この木は売りものじゃないのよ」
その男の子はいやな顔をして、ぷいと立ち去った
以前にも、きこりがやって来て
同じことを言った。ここの木を全部切ってはどうか
そう言った。腐ってますよ。いつか倒れて
誰かが下敷きになりますよ。ほんとうは
ここの木はみな、最盛期をむかえている
さらに50年は生き延びるだろう
でもあの人たちは、木を売って
何千ルピーかもうけたかったのだ
だからわたしは、こうして庭に立ち
キツツキやら家具職人やらを追い払い
欲深い若い男たちを追い払い
水が大きなバイクよりずっと価値があることを
教えている
もくじ
Contents
窓から外をのぞいて、キツツキを見る
まだ忙しそうにしている。行きなさい
キツツキ、行きなさい!
わたしは祈る。どんな家具屋も
欲しがらないくらい、木に穴をあけておしまい、と