アカシュは真夜中の犬
死んだ雄牛のところから
骨盤を引きずってきた
それに噛みついて
通行人にうなり声をあげる
みんな骨を盗みにやって来る
そう疑ってかかっている
アカシュは黒犬
自分が管轄する世界の帝王
アカシュは友だちが入ってくるのは許す
でも、いつも尾を振るわけではない
アカシュはこの土地を所有している
この土地がアカシュを所有しているように
野心の犬
その犬の名はアカシュ
空、そう彼女は呼んでいた
アカシュは空と呼ばれるにふさわしいとしても
それは真夜中の空
闇夜のように黒くて
内に白い毛をひとふさ隠す
アカシュはこの庭が好き
自分のものだと思っている
自分がここに一番にやって来た
そう考える
他の人がすでにいたとは思わずに
でもアカシュの記憶はたった
三年間しかさかのぼれない
それで自分の領内に入ろうとするものに
吠えたてる
権利があると思っている