東洋と西洋の交差点に、長い年月をかけ、様々な民族が行き交い、残していったものたち。
それらは円熟し、西も東もふわりと包み込むような、おおらかさをたたえていた。
色彩豊かな国でもあったけれど、アジアやメキシコのごったがえす原色とは違い、
ほんの少しだけ色褪せた写真の中のような、独特の柔らかな諧調がたゆたい、
その中にいると、不思議と懐かしさを感じる瞬間が幾度もあった。

街から離れると、自然が形作った、奇抜な世界を目の当たりにした。
例えば、想像以上の広域に渡って、不思議な形の岩が立ち並ぶカッパドキア。
まるで違う星に来てしまったかのような、突拍子もない風景の中にいても、
それらはのどかな日差しや風にそよぐ草原、おだやかな空に囲まれ、
すぐ傍には、人々のゆったりとした生活が息づいているのを感じ、
見たことのない景色にびっくりするというよりは、
ほっとするような気持ちになり、なごんだ。

周辺の村では、奇岩の中や洞窟を住居としている人々が、
子どもの頃から見慣れた景色として、特別なことだと意識もしていないように、
ただ淡々と生活をしていた。
空には洗濯物がはためき、
奇岩の立ち並ぶ道端では、女性達はしゃがみこんで井戸端会議、
子ども達は枝を振り回しながら、猫を追いかけ、遊んでいたり。
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26. いろんな時間が寄り添う風景〜カッパドキア、パムッカレ(トルコ)