今日は旦那が車で、キングストンからすぐに行けるライムキーという小島にいく波止場まで、送ってくれることになっていたのだ。
ずんぐりした体に、蛍光グリーンのTシャツを着た、人は悪くなさそうだが、極めて軽い感じの男。
運転はめちゃくちゃだし、妻がいないことをいいことに、車窓から、道行くギャルをナンパしている。
どうしてわざわざジャマイカまで来てこの男と結婚したかなーと思うし、実際喧嘩が絶えない2人だけれど、
数週間前に二人目の赤ちゃんが産まれたばかりで、夫婦ってミステリアスで面白い。

波止場では、ガタイのいい漁師達がたむろしていて、その中の一人がボートで島まで連れて行ってくれた。
透き通ったカリブ海にぽっかり浮かぶ小さな島。
着いてみたら、そこには私たち以外誰もいなくて、貸切状態だった。
ぬるくなる前に、買ってきたレッドストライプを飲んでは、海に浮かび、上がっては飲んで海を眺め。
温まった海水に友達と浸かり、なんだか温泉にいるようだねと話す。
体からいろいろなものが抜けていく感じがした。

ここまで旅はあっという間だった。
この先、キューバ、メキシコ、LA、ハワイと南国を巡って、旅は終わり。
その後は真冬の札幌で、日常生活が再開する。
とっくに30歳も過ぎて、無職無収入、古い安アパートで、同居人もいない生活からの再スタート。
だけどその時、透き通った浅瀬にひたっていると、太陽がちょうど真上に昇り、波間にきらきらした三角がいくつも映り始めた。
それが、自分の方に押し寄せてくるのを見ていると、ただ幸せな気分で、これからもいろいろあるだろうけれど、
きっと楽しいこともいくつも起こるんだろうなと、なんの疑問もなく、自然にそう思えた。
海から上がり、眩しい光の中、友達と一緒に、セルフタイマーで記念写真を撮った。 
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17. 予知とノスタルジア〜ライムキー(ジャマイカ)