ガイドブックに載っていた、ロンダという町に立ち寄りたいと思い、その近辺で宿泊する場所を検索していた際、
見つけた宿の住所が、カルタヒマだった。
宿のマネージャーであるボッツという男性にメールしたところ、やりとりの感じも良かったため、
カルタヒマの場所をきちんと確認することもせずに、予約することを決めてしまった。

ロンダは小さな町だけれど、崖からの景観が観光スポットになっているため、それなりに観光客が集まっていた。
ボッツが送迎に来てくれることになっていたが、待ち合わせ場所に行ってもそれらしい雰囲気の人が見当たらない。
と思っていたところに近づいてきたのは、ぱっと見て、「この人は絶対に違うだろう」と思っていた、
長髪にサングラス、痩身に黒の皮パン、黒いシャツの胸をはだけた、ロッカー風の男性だった。
彼がボッツであり、その宿の支配人兼料理人兼ハウスキーパー兼運転手だということが分かり、ちょっと驚きながら
車について行った。
もう一人宿泊客を待つと言う。
そこにバスが停まって、一人の東洋人の男の子が降車し、あたりをきょろきょろ見回していた。
ボッツが声をかけると、その子が宿泊者の韓国人でソンという名前だった。
「nice to meet you」とあいさつすると、「はじめまして」という返事が。
韓国語に加えて、英語、スペイン語、日本語、アラビア語の5か国語を話すことができるらしい。
わたし達と、ボッツとソン。険しい山道をぐるぐる回りながら、宿を目指す。
ロンダに滞在する予定だったけれど、想像していた以上にカルタヒマまでは距離があり、
宿からロンダまで観光をしに出かけるという選択肢は、その時点で捨てざるを得ないなと思った。
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10. 小さな白い村で〜カルタヒマ(スペイン) 前編