車窓から流れる風景を眺めていると、一瞬のことなのに、心をもっていかれるような光景に出会うことがある。
その時は、あっという間に過ぎ去り、次々と現れる風景の残像にまぎれていくけれど、
旅を終えて、数年たった今、頭の中に、取り出したい時にはいつでも取り出すことのできる
アルバムのようなものができていて、めくると思いがけず、鮮やかに蘇ってくるものもある。
このところ、よく浮かぶのは、ベンメリアというカンボジアの森の中にある寺院の遺跡に向かう途中のバスから見た風景だ。  
(つつぎを読む)

9. 森に溶けてゆくもの〜ベンメリア(カンボジア)