宮川隆ブックデザイン展
リトルモアから葉っぱの坑夫まで
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 2004年2月23日〜3月27日(土) PROGETTOにて(川崎ラ・チッタデッラ)

宮川隆(みやがわ・たかし)、ブックデザイナー、断片的プロフィール 


1955年、沖縄・宮古島に生まれる。4人兄弟の4番目。
幼稚園入学前から、絵を描くことに熱中する。
描くものはクルマ、飛行機、船などのデザイン画が主だった。
当時クルマはすべて直線のみで構成されていなければならなかった。
機能上の問題から、タイヤのみ泣く泣くマルを採用。
海鳴りを聞いたときの恐ろしい記憶。今でも思い出せるそう。

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台風のたびに作物や家が無惨な姿になるのを見つづけて大きくなる。
なぜ人はここを出ていかないのか不思議に思う。
中学生になってアンディ・ウォーホルの作品と出会う。
たぶん、少年時代のピッツバーグでの暮らしぶりなどもこの頃知る。(筆者推測)
そして人間どこにいてもナニジンでもやってることは変わんないなぁ、と悟る。

18才のとき、宮古島を出る。以来、東京暮らし。
雑誌「遊」や特徴的なエディトリアル・デザインで知られる工作舎で仕事をする。
高校生のころから 、グラフィック・デザイナー杉浦康平にあこがれる。
「遊」時代には杉浦氏のチームでダイヤグラムや変形地図などの図像実験をしていた。
継続的に、音楽を聴きつづける。

表参道の宮川デザイン事務所には山のようなCD。
一見カオスに見えるが、アレと言えば、だいたいの場所の見当はついている模様。
そこで筆者、チカーノのグループ Latin Playboys(Los Lobos)の沖縄風ミュージックを耳にする。
聴いている音楽の巾はそうとう広い。(らしい)。
本当はCDクォリティの音よりAMラジオの音質が好きだという。

2、3年前にGallery Trax(山梨県)にて、アートワークの個展をする。
筆者のつたない理解では、細部から発して全体へと到達する作品。
あるいは、どこへも行きつかない作品。
あるいは、つぶやきかおしゃべりのようなもの。
超微細な際限のない「くりかえし」は、通常、色がない。
テキスタイル・デザインのようでもあり、お経のようでもある。
「くりかえし」のように見えるが、実は、一つとして同じ線はない。
仕事場に行くと、作品の束が積んであるのが見える。
その一枚一枚に描かれた線の数を想像すると気が遠くなる。
常に手がそれを描いていて、やめられないそう。
その紙束の増殖度、ばかにできないくらい早いと想像する。
ひとごとながら、なんとかしなくては、という気なってくる。

13/02/2004 written by kazue daikoku(ver.2)

*チカーノ(Chicano):メキシコ系アメリカ人




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