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Desert USAの許可を得て、翻訳、掲載しています。


オオツノヒツジ
Bighorn Sheep

    網:ほ乳網
    目:偶蹄目
    科:ウシ科
    亜科:ヤギ亜科
    属:Ovis
    種:canadensis(カナダの意)

オオツノヒツジの分布範囲

もともとは、オオツノヒツジの分布地域はカナダ南部からコロラドにかけてのロッキー山中でしたが、現在は人を避ける習性や危機意識から、小さな分布地域に分散しています。沙漠種のものはネバダ、カリフォルニアからテキサス西部、メキシコの南部にまで渡って分布しています。シエラネバダ山中に生息しているものたちも少しいます。

オオツノヒツジの生体統計

体重:57kg〜140kg
体長:1.3m〜1.8m(しっぽも入れて)
肩の高さ:80cm〜100cm
生殖可能な年令:2才
繁殖期:11月〜12月
妊娠期間:180日
子供の数:1〜2匹
出産間隔:1年
寿命:10〜15年
食料:主として牧草、スゲ(湿地の草)や雑草

興味深い事実

  • 雄同士の頭での戦闘は有名。24時間以上の戦闘も観察されている。
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  • ツノ(洞角)のサイズで地位が決まる。雄のツノは15kgくらいあることもある。
  • 沙漠種のものは、草があれば、冬の間は水を必要としない。夏の何ヶ月間かは、3日ごとくらいに水場に行く。
  • 消化において9段階のステップを踏み、それによって採取した食物から最大限の栄養を得る。
  • 関連種

    沙漠オオツノヒツジは4種の亜科から成り、乾燥地帯、沙漠山岳地帯、近くに絶壁と夏場に水がある山すそなどに住んでいます。ほとんど水のない、やせた土地です。冬になるとオオツノヒツジは水のないところからはるばる、葉っぱのついた植物を探しに列をなして歩き回ります。夏が近づくと、水場の近くに移り、体内の水分を消費しないよう、日中は洞くつの中や岩陰などで休息をとります。

    解説

    オオツノヒツジは引き締まった筋肉質のからだをもっています。鼻ずらは細くとがり、 耳は短くとがっています。しっぽは短いです。毛皮はシカのようで普通は茶色がかった色で、 お尻に白っぽい斑点があります。毛皮はすべすべと滑らかで、抜けやすい保護用外毛とその下の 短い灰色の縮れ毛からできています。夏毛は光沢のある濃い茶色ですが、冬の終わりにはすっかり色褪せてしまいます。

    雄ヒツジはラムとよばれ、茶色のりっぱなツノが目印です。ツノは耳の後ろにカールし、ほおのところで巻き返しています。こうなるのに7、8年かかり、84cmくらいまで伸びます。雌ヒツジはラムより小さく、短くて小さい半分くらいしかカールしないツノをもっています。

    沙漠種のオオツノヒツジは、いくぶん小さめで平たく、カールが開いたツノをもっています。

    鳴き声

    発情期の雄ヒツジは、短い鳴き声をたてます。子ヒツジがメーと鳴くと、それに雌ヒツジは「ベエ」と答えます。 またノドをゴロゴロさせたり、びっくりした時に「ブラウ」と鳴きます。

    視力

    オオツノヒツジは非常にするどい視力をもっていて、山の中を走るとき、足場を見つけるのに役にたっています。 1キロ半くらい先にいる動きまわる動物を捉えることもできる視力の持ち主です。

    行動

    オオツノヒツジは群れをつくって生活し、ときに100頭を越えるの集団になることもありますが、8〜10頭くらいの小集団の方が一般的です。 大人の雄ヒツジはふつう雌ヒツジや子ヒツジとは離れ、雄の集団で暮らします。季節により住む場所を移動し、夏は広い高地で、冬は谷間に身をひそめて 暮らします。

    雄はテリトリー争いはしませんが、雌を得るために戦闘することはあります。ツノの大きさと同様、年令も雄の優位性を決める要素です。シロイワヤギが山をよじ登るようにではなく、 オオツノヒツジは崖っぷちをごく気楽にジグザグ道を登り降りしていきます。たった数センチの大きさの足場さえあれば、6mくらいの間隔でもピョンピョンと跳びこえていきます。 平地なら50kmを1時間で移動し、時速15kmで山の斜面を登っていきます。どっしりと重いからだや大きなツノにもかかわらず、自由に泳ぎまわることもします。

    オオツノヒツジは昼間活動し、朝、昼、夕とエサを食べ、それから横になって食べたものを反すうして消化します。夜になると自分の寝場所に行って眠り、何年もそこで寝起きするようです。

    沙漠オオツノヒツジは二つの冷却装置をもっています。発汗とあえぎですが、それは沙漠の野性動物としては珍しい適応の仕方です。夏にやっと雨が降ったときなど、本来の元気な姿を取り戻すようです。

    オオツノヒツジは高地の牧草地、草地の斜面、岩だらけの崖っぷちや絶壁が近くにある山すそに住んでいます。それは何かあったらすぐに逃げられるからです。冬には年間降雪量が1.5m以下の標高750〜1500mくらいの斜面に住みます。それは深い雪の中を歩けるような足をもっていないからです。夏は1800〜2500mくらいの高地にいます。

    *このページの原文は:http://www.desertusa.com/big.html

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