他の人がここの山の通り道で何が一番好きか、言い当てることはできない。わたしはと言えば、銀モミの生育地より上に行ったなら、白オダマキを見つけるまで歩きつづけるだろう。湖岸地域の円形劇場の周辺やその上あたり、多年生草類の限界地点のところまでに、オダマキの群生ががれきの岩地で見られる。花の群れには、ひらひらと広がる萼(がく)、白く清廉な花弁の突起、震えるように頭を揺らす花弁が見られ、その感じは忘れがたい。最初のお店で有り金全部使い果たすようにではなく、言葉にできないその胸をつかれる美しさを、少しずつ味わう方がいい。その次の年も、その次もあるのだから。

  最初の積雪がある頃まで高山地帯をうろついていると、雪は花がまだ咲いている時期に降ることもあるのだが、楽しい仲間とともに山道を下ることになる。シーズン最初に降る雪は柔らかく、べたついて、道を歩きにくくする。すると森に住む動物たちが、最初の雪嵐が襲う地帯より下の森の端まで降りて来る。冬の始まりや春の始まりには、黒松の間に開けた斜面の、バックソーンの薮木の近くで、シカやクマやオオツノヒツジ、クーガーやボブキャットの姿や足跡を見つけるだろう。でも六メートルも積もった雪の表面が氷でカチカチになると、動物たちはもっと遠くへと移動し、食べものを探す。真冬になって、ときにその氷の上に一メートル近い新雪が積もることがあるが、この山道を通る生きものたちにとって、非常に困難な事態となる。そのような雪嵐の前兆があると、天候に敏感なオグロジカは谷を駆け下り、まばらな松を育てる分くらいしか雪の降らないワバンの牧草地へと登っていく。いっぽう野生のオオツノヒツジは、厳しい雪嵐にも堪えることなく冬越しするが、緩くて足場の悪い雪にはうまく対処できない。そのような雪嵐が山を越えてやってくることはないので、インディアンが低地の地溝部で、腹まで雪に埋まりながらヒツジを捕まえることはない。わたしは一組の角を持っていて、とてつもなく重いのだけれど、それはつい一年前くらいに、湿った雪が一週間続いた後のオーク・クリークの河口で命をとられた、一番頭のオオツノヒツジのものだった。その頭は王がするように、無駄な抵抗や震えおののくことなく事態を受け入れた。夜の漁り屋たちに見つけられるのではなく、群れの四匹の従者とともに死を迎えたことは、なんとも救われることだった。

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