そのショショーニのことで、彼等がその名を語る権利はないと主張する人々がいる。ショショーニはもっと北の地域の部族のことだと言う。でもここのショショーニにとってはこの言葉こそ自分たちの名前、インディアンにとって自分の名前以外の名で呼ばれることほど無礼なことはない。ここのショショーニは部族の伝統の受け継がれ方や妥当と思われる様々な証拠から考えて、現在の居留地から遥か北東の地域一帯を占有していた一大一族の末裔で、パイユートによってそこから追放された。二つの部族間には昔の敵対心がまだくすぶっている。

 ウィニナップは、パイユートの境界線がショショーニの土地の行き止まりだった少年時代のことに思いを馳せ、仲間の少年と二人で忘れもしないある春に、境界を少し越えたところでハゲタカの巣を見つけたことをわたしに打ち明けた。二人の少年はハゲタカの巣を盗もうと燃えたった。ああ、だけど何の目的もないのだ、太古の昔から男の子たちは巣を盗むというだけ、単なる遊びにすぎない。取って、さわって、他の子どもたちに特別の宝ものとして見せびらかし、その後に捨ててしまう。なのでたいした意図があってのことではない、でも息を殺して、大胆不敵に、二人は切りたった涸れ溝の縁を這い上がり、セージの原を横切り、巨岩が点在する荒れ地を通って、ごつごつした松の木の上にあるハゲタカのすみかを、そのすばしっこい目で見つけ出した。

 まじない師はいつも話がここにくると震え気味になるのだけれど、巣を手にして気が大きくなっていた二人がまだ木の上にいるとき、パイユートの狩りの一行が境界線のあたりを歩いていくのを目にしたのだ。それはまだ昼前のことで、それから丸一日かけて二人はサボテンの茂みや草のない砂地の上を、巨岩から薮へ、薮から巨岩へと、冷や汗をかきながら、身を滑らせ、這いずりまわって、鼻腔に砂が詰まり息絶え絶えになりながら何キロも歩き、暗くなってやっとショショーニの地に戻ってきた。なんとその間ずっと、ウィニナップは鹿革の服のふところにハゲタカの卵を入れ、家まで持ち帰ったのだ。ショショーニの子どもというのはウズラの子のようなところがあり、何も教わることなく餌を取ったり隠したりし、文明になじんだ子どもたちが絶対知ることのない知恵をもち、危険や変化をすぐに察知して騒がず、じっとしていることを知っている。

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