一面白銀の世界に朝日が輝き、ヒマラヤスギの屋根の下で男は目を覚ました。そして目の前に、同じ屋根の下で、神の羊、野生のオオツノヒツジの群れが、白一色の雪景色を眺めながら大きな角を振っているのを見て、心を強く揺さぶられた。群れはあたりが明るくなってくると少しだけ男のそばから離れたけれど、それ以上の関心はないようだった。やがて光はあたり一面に広がり、真っ白な雪の天蓋があちこちに腕を広げ、神々しいほどの海の青さの中を泳いでいた。雲が空に散らばり、峡谷の上で渦巻いてはちぎれ飛んでいった。群れのかしらが軽く吹きだまりを蹴って合図すると、羊たちは軽々とした長い跳躍で雪面をとらえ、飛ぶようにしてワバンの斜面を駆けおりていった。

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もくじ

ポケットハンターのような男に、こんなことが起こるなんて! 不思議なことに、男は今まで数知れず幸運に恵まれてきたけれど、なぜか動物についての一般常識は、滑稽なほど欠けていた。男はガマガエルの毒性やヘビよけのお守りを信じていて、また、これはわたしにはどうしても認められないことだけれど、わたしの友コヨーテに対する鉱夫一般の偏見も持ち合わせていた。ぬすっと、卑屈者、ぬすっとの息子、などとこの荒れ地の小さな灰色犬をいつも呼び捨てていた。