今ではこのブドウの蔓這う町に、新たな住人がやって来ることはない。「小さな泣き声を上げる」新参者たちの他には。でもそれで充分。家々の敷居の上に、小さな頭がずらりと並んでいるのが見える。ほら、ほら! 自然にまかせて来る年来る年赤ん坊を持つこと、そしていつも母親が胸を大きく張らせていることは、わかってやっている限り、誇りのひとつとなる。ここでは結婚に恵まれるのはたやすいこと。ルイ・ガルシアが結婚の申請に行ったときのこと、1ドルの事務手数料が足りず、それを保安官から借りて済ませた。その男は再選を狙っていて、気前の良さを見せたのだ。
ここでは近所の人から粉や肉を簡単に調達できるのだから、それを欠いたところで大した問題にならない。それに、貸して上げるのは体面もいい。ジーザス・ロメロは十人の子持ちだったが、マリオネット鉱山でやっていた石の袋詰めの仕事を自分からやめた。「ん、どうしてかって?」とジーザス。「家族のためでっさ」
「こういうことだよ、セニョーラ」とジーザスは真面目くさって言う。「マリオネットに行くわな、仕事して、肉やらパイやらフリホーレスやら喰って、うまい、んまいんだよ、確かに。土曜の晩に家に帰って、家族に会って、遊び仲間とちとポーカーで遊んで、ワイン飲んで、それで金はみんな消える。家族に金はいかない、食べものもなし。鉱山で働いてれば、喰える、うまいもんが、てーした食いもんだ。で、家族が気の毒だなと。いいや、もう、セニョーラ、もうマリオネットでは働かんさ、家族と暮らすんだ。」 驚くべきは、わたしの見たところ、家族も同じように考えていたらしい、ってこと。