最初の降雪では風はなく、しばしば雨をともなうが、少しして斜面一面を雪が数十センチの深さでおおうようになると、積雪が始まる。後から降る雪は乾いてきめ細かく、風にさらさら動く氷粒になる。嵐の次の冷え込んだ朝には、高い峰から峡谷に向けて、雪粒がリースや帯になって舞いながら中空を飛んでくる。
一、二年に一回、「大雪」が来る。雲の天幕が谷間と周辺一帯をおおうように広がり、太陽をしっかりと隠す。そのような嵐は生暖かく、峰の間を満たしていく乾いた白い靄で始まり、あたりは得体の知れないうめき声に満ちる。そこから数日の間、雪があたりを明るく照らし、峡谷の向こうに肩をいからせた峰が顔を出すまで、山のあたりがどうなっているのかまったくわからない。大雪の次の朝はいつも、空気は鋼のように青く、身を切られる寒さ、あたりは神々しく静まり返り生気に満ちる。このときこそ松の境界域まで登っていくときだ。そこであなたは、足元の悪い吹きだまりの中でもがく野生の「傷んだ雄羊」と出会うかもしれない。老いと飢えで生気をなくし、簡単にえじきとなるであろう雄羊。身の軽いシカでさえ、積もったばかりの雪の上では歩みをゆるめるもの。一度、雪の照り返しの中をクズリが、目をつむりふらふらと歩いているところを見たことがある。
銀モミはどんな木より上手に、雪の重圧を受け入れる。星をまとい、扇状に枝を広げた銀モミが、柔らかな雪のリースの重みで腕を押し下げられ、枝を水平にしている。そうして積み荷が限界まで来ると、サワサワとくぐもった葉音をたてて、枝は腕を元の位置に戻そうと、積んだ雪を枝の付け根まで移動させる。そうやって枝々を雪でおおっていく。
雪が湿って重いとき、モミの若木はすっぽり雪におおわれるが、その下の緑のテントの中には冬鳥たちが身を寄せている。