八月の数週間は、こんな天気で日に日に過ぎていく。ときに急な冷え込みで湖水庭園のあたりに湿った雪が花の縁まで積もることがあるが、害を及ぼすことなく溶けていく。またときに、ヒース咲く岬で、雨雲ができるところを目撃する、という幸運に恵まれる。草地のずっと向こう、あるいは湖の方で少し空が暗くなってくる。雲はなし、風もなし、魔女の話に出てくる霊みたいな、煙る気体が見えるだけ。

 その気体は光を放ち、そこに人知れぬ谷の奥から呼び寄せた薄い膜をかける。雨が静かに降り始め、それは「透き通るように薄いローン生地のような雨のヴェール」になる。風が起きてその形なきものが草地を、雨粒がポツポツと落ちる濁った湖の上を、ヴェールを溶かしながら動いていく。この雨は涙のように心を緩ませる。

 その同じ季節が、やるべきことを持った雨を連れて来る。あたりの景色を変えてしまうほどの、地を耕す嵐だ。雨は雷鳴と岩に向けて放たれる稲妻とともに来る。雨は大風を連れてくる。その風は、松が将来海上で役立つものになるか検証し、不出来なものを打ちたたく。雨は雪崩を起こして高い峰々から雪塊を降り落とし、戦いの前線部隊が攻め入るように、突然の洪水で峡谷の町や木や巨岩を襲う。雨はできることならもっと優しくしたいところだが、そこには大切な役目があるのだ。土地の人々が「雲の破裂」と呼ぶこのような嵐は、ただの雨ではなく、雷神が揺すってこぼしたトールの杯からの滴り。そんな嵐の後、何マイルも向こうの村の消火栓に上がってくる水は、途中の流れで風にさんざんかき混ぜられ、白く泡立っている。

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