沙漠の恵まれない状態をいちばんよく表わしてるのがユッカの木である。高台のメサで、苦痛に耐えながらまばらな林を成し、わびしく育つ。なかでもサン・ホアキン峡谷南端の海風が吹きつける丘と、シエラ・ネヴァダ山脈とが出会う地点から、東にむかって扇型に広がる山峡の三角地帯でよく見られる。ユッカは銃剣の先のように尖った葉を地面からびっしり逆立て、沈んだ緑色をして、年経るごとにぼさぼさと繁茂し、茎の先端に悪臭のする緑がかった花房をつける。生命を終えた後は、魂の抜け去った骨だけの風体になって、朽ちる力さえ尽き果てたかのようにゆっくりと死を生き、月夜にはぞっとする見映えだ。花を咲かせる前、小さなキャベツほどの大きさのクリーム色をした円錐形のつぼみのときには、砂糖のような樹液をいっぱい含んでいて、インディアンたちは緑の剣の柵囲いの中から上手にそれをねじり取り、火であぶって、甘みを楽しむ。それで人の住んでいる地域では、ユッカ・アルボレンシスの若草はめったに見ることがない。その他いろいろなユッカ類、サボテン、背の低いハーブ類と、何百種もの植物が沿岸の丘陵地から東にむかって歩けば見つかるだろう。沙漠の植物がまばらに生えている理由は、土壌の貧しさのせいでも植物の特性のためでもなく、それぞれが水の確保のための間隔をとっているだけである。たくさん土があれば、水もたくさん確保できる。生存のための真の戦い、植物の真の頭脳、それは地下にある。それがあって、地上にバランスのとれたきれいな形が生まれる。デス・ヴァレーは荒野の中の荒野とされているけれど、二百種近い植物の存在が確認されている。

 日射量によってくっきりと区分された樹木限界線から上、それは積雪地帯の始まりでもあるが、そこにも松、ジュニパーの茂みが広がり、枝を地面にすりつけるように伸ばしている。ライラック、セージ、そしてあっちに一本こっちに一本と白松が育っている。

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