アパートメントビルディング


サパナがわたしを
あるアパートメントに連れていった
彼女の友だちがそこに
家を買ったとか。その人はスチワーデスだった
買ったとき170万ルピーだったというが
今は250万まで上がっている
投資なのよ、そうサパナは
声をあげる
そのアパートの見映えは
ソ連から降ってきた
流星物体のよう
いかめしくて、灰色で、ブロックまたブロック
バルコニーは格子で塞がれている
完全防護の住宅地、ゲイテド・コミュニティ
それを見て、わたしの心は沈む
監獄よ、地獄よ
サパナはいう
こういう場所にいるとやすらぐわ
アメリカにいたときみたいな感じ、と
こんな風に閉じ込められることが
鳥かごや動物の檻
軍艦を思い起こさせるのは
どうしてなのか、わからない
もくじ
Contents
当世風と進歩が
わたしを動かすことはない
わたしが望むもののすべては
(笑って、手を振って
アパートを買うことを考えてみると
約束しつつも)
うちの小さな庭の美しさにある
そう思う