ビムセン・ラル


店の主人は母とわたしに
ビムセン・ラルのうわさ話をした
どれだけの数の工場を、ビルを
所有しているか
どれだけたくさんの人に部屋を貸しているか
あの人は百万長者なんですよ
店の主人は畏敬をこめて言う
心はビムセン・ラルに占められている
店を出て、歩きながら、母が
わたしのひじに手をかけて、ささやく
「ビムセン・ラルは若いときにね
うちの庭に働きにきていたのよ
ビムセン・ラルは今はお金持ち
でもうちみたいに、庭はもってないの」
その後で、彼の親戚が
うちの庭の緑を見て、手入れの足りない田舎の裏庭
と勘違いし、アパート建築でもしたらと提案した
母はきっぱりと言う。「うちはこうして木や庭と
暮らしてきたの、何世代もね。つましく暮らしていくの
ビルも建てず、工場もやらず、それから
庭の木を切ったりせずにね」

Like this, with trees and a garden,
For generations. We will live frugally
But we will not construct buildings,
We will not start factories,
And we will not chop down our trees.

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