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東へ、二輪車巡礼の旅
A two-wheeled pilgrimage to the East by 张坤(Zhang Kun・上海/China Daily)
China Daily
: 2012-11-19 14:03
パウル(左)とハンセン(右)の双子のヘプナー兄弟
自転車で遠く離れた土地まで旅することは、パウルとハンセンのヘプナー兄弟にとっての夢だった。双子のドイツ人兄弟は地図を調べてみて、自分たちの家があるベルリンから、自転車で行ける一番遠い場所は上海だとわかった。
「海を渡らないで、一番遠くまで行けるのがそこでした」とハンセン・ヘプナー(30歳、自転車デザイナー)は言う。「ぼくらはとにかく、出来るだけ遠くまで行きたかったんです」
ハンセンはパウルより、ほんの数分だけ年上の兄。
パウルはウェブサイトのデザイナーとして働いていたが、今はベルリンのインスティテュート・テクノロジーで大学院生として、人的要因の研究をしている。
多くの人にとって、二人が十分なお金も装備もなく、法的許可証すら持たずに旅に出るのはばかげた考えに聞こえた。でもそんなことでは、二人の旅は止められなかった。一卵性双生児である二人の頭脳は、一台のコンピューターのようにこのプロジェクトに取り組んだ。
それにもう一つ、この旅をどうしても成し遂げたい理由があった。二人の曾祖父は船乗りで、ヨーロッパとアジアの間をよく旅した。「今でも家には、中国製の壁敷物があるんです。金と赤のシルク地に龍が描かれています。ぼくらの血には、ちょっと中国の血が流れてるかも?」とパウルは言う。
夢をかなえるため二人は一緒に住みはじめ、バーでアルバイトをし、無事資金を調達しスポンサーも見つけた。二人の誕生日、4月6日にドイツの家を発ち、10月28日、めでたく上海に到着した。
二人はこの旅のすべてを、様々な冒険や困難、喜びや苦悩、砂漠やヒマラヤでの体験などを
自分たちのブログ
に記録してきた。そこには旅の写真やビデオも含まれている。
「ぼくらはロードマップによるマルチメディアの本が作りたいと思っているんだ。ハンセン、パウル、二つの視点からのね」 と二人はブログに書いている。
ヘプナー兄弟は、全部で13,600 kmの道のりを207日間で走り、旅を終えた。ヒマラヤ山脈、タクラマカン砂漠を越え、ドイツ、ポーランド、ベラルーシ、ロシア、カザフスタン、キルギス、そして中国と七つの国を横断した。
ならし運転を二、三日した後は、一日に200キロ以上の距離を走り続けた。旅は孤独なもので、ヘプナー兄弟は土地の人々とよく知り合うこともなく、簡単なあいさつをかわす程度のことが多かった。iPhoneの翻訳アプリが、人々と話すのに役立った。
中国での面白い体験について、ハンセンはこう話した。湖北宜昌市の近くにいたとき、現金を切らしてしまい、やっと見つけた銀行も閉まっていてがっかりしていた。寒くて雨が降っていて日も暮れ、二人は濡れて、お腹もすき疲れていた。それで緊急用のドルを中国通貨に替えてもらうことにした。
「だけど誰もぼくらのドルを欲しがらなかった」とハンセンは思い出す。「誰もドル札なんて知らなくて、外国のお金をどうしたらいいかも知らなかった。一人として、ドルを取ろうとしなかったんだ」
「そうしたら、誰かが『いくら必要なんだ?』って訊いてきた。お金を交換する代わりに、お金をくれるっていうんだ」 そうハンセンは言う。人々が集まってきて、最初の男の人の寛大さに刺激されて、来た人が次々に二人にお金をくれたという。兄弟は全部で350元(56ドル=4500円)を受け取った。
この六ヶ月を超える旅は、たくさんの計画を負っていた。日々の最低限の支出を引いても、当初9000ユーロ分(96万円)の不足があった。そこで二人は「クラウドファンディング(ネット通じた資金調達)」を始めた。
「インターネットで物乞いしている感じ」とハンセンは言う。二人はウェブサイトに自分たちの旅のことを書き、支援を募った。この旅に賛同する人、旅を達成させるのを助けたい人、そういう人々が寄付に応じた。限られた時間の中で、旅を始められるだけのお金が集まった。
双子の兄弟は9003ユーロを40日間で集めた。また様々な企業に対して、スポンサーになって自転車やヘルメット、その他の装備を提供してくれるよう説得した。
ハンセンとパウルはこの旅で少し体重を落とした。また旅での体験は二人を大きく変えた。
「巡礼の旅みたいなものだった。旅そのものが、ぼくらのゴールだったんだ」 そうパウルは言う。荒野の中を長時間走ることは、一人静かにものを考える時間がたくさんあるということ。「ぼくらは精神的な投資ができて、よかったと思っている。この先の長い人生で、糧になると信じているんだ」 ハンセンがこう結んだ。
*二人が自転車の旅を綴ったウェブサイト「
Berlin 2 Shanghai by bike
」
オリジナルテキスト:
A two-wheeled pilgrimage to the East
by 张坤(Zhang Kun・上海/China Daily)
日本語訳:だいこくかずえ
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