ich - ni - san - hao!
| 葉っぱの坑夫 | Happa-no-Kofu |
一、二/你、三、好

ミスター・ビーンが笑いを誘う、コメディカフェ

Comedy cafe Mr Bean puts smiles on lips by 吕畅(Lu Chang / China Daily)
China Daily: 2012-10-13 16:42

コーヒーを売るために中国にやってきたもう一つのbean、、、が、それは笑いを演じるためじゃないのです

世界で最もよく知られるコメディの登場人物をつくりだしたドラマ制作者は、主役の命名をするとき、おそらくコーヒー豆のことなど考えもしなかったに違いない。が、誰かがそのことに気づいて、コーヒーを売るのに彼の名前をつけようと考えても、さして驚くことではない。

イギリスのコメディ俳優ローワン・アトキンソン風に眉をピクピクと上げさせるもの、それはスターバックスやコスタのような強力なライバルやその他もろもろのコーヒーショップを迎え撃つために、あのミスター・ビーンのキャラクターの総販売権を一人の中国人が取得した、という話である。


ミスター・ビーンのようなへまばかりして、とんでもないことを起こしそうなはみ出し者を思い浮かべてみれば、それが最近のコーヒーショップが伝えたいと思っているイメージ、つまり品のよさや洗練といった中国の今の流行りから、大きく外れていることがわかる。

だがこの店はもっと軽々として、もっと寛いで、人々のおおらかな側面に照準を当てたもので、笑いが好きで、コーヒーを飲むことについては、作法や儀式めいたことをあまり気にしない人々を対象としている。

「もしただ一杯のコーヒーを飲むだけのためなら、どこにでもあるコーヒーショップか、最近になってコーヒーも飲めるようになったペストリーの店に行けばいいのであって、そのためにミスター・ビーンコーヒーへ来ることはないのです」 そう言うのは、去年中国で店をオープンさせた、ミスター・ビーンコーヒーの代表チノ・ウー。「お客さんがここに来ることで得られるのは、どこでも体験できないことのためです」

写真:ミスター・ビーンコーヒー代表、チノ・ウー(China Daily)

アトキンソンが演じる子どもじみたはみだし者のミスター・ビーンのテレビ番組の中で、ビーンはその数々の策略や悪だくみによるしっぺ返しを受けて、延々と毎日を奇妙なことに陥れつづけ、何でもないことをおかしな状況に導いてしまう。

でもだからといって、この新しいコーヒーハウスの顧客が、バリスタが奇声を上げたり、エスプレッソマシンの真似をしたり、コーヒーの泡の具合を視ているときにおかしな顔をすることを期待してやってくる、というわけではない。

ウーが望んでいるのは、真面目な話、この店がユーモアが好きな人やミスター・ビーンのように率直で、平凡なことをとんでもない面白いことに変えてしまう生き方がいいと思っている人々にとっての、新しいたまり場になってほしいということ。

ミスター・ビーンは1990年代初頭、イギリスのテレビに14回シリーズの30分番組として現われ、世界中でたくさんの視聴者を得て、国際的に最も人気の高いイギリス製コメディとなった。2本の映画も作られ(最新作は2007年度)、アニメーションの26回シリーズもある。アトキンソンは2012年のロンドンオリンピックの開会式でもビーンを演じた。

とはいえ、アトキンソンが株主でもあるイギリスの番組制作会社タイガー・アスペクトが、上海フランチャイズ・エンタープライズ・マネージメントサービス会社(SFC)に対して、ミスター・ビーンの名前を使うライセンスの許諾をしたのは2010年のことだった。

「わたしたちは、SFCとの契約で新しいビジネス領域に入れたことを大変喜んでいます。コーヒーショップを通じて、ミスター・ビーンへの注目がさらに増加することを望んでいます」

今のところ、ミスター・ビーンのコーヒーショップは中国全土でまだ4店舗、三つが上海、残りの一つが江蘇省(コウソショウ)の無錫市(ムシャクシ)にある。2013年の終わりまでに、広州市、深セン市、北京市などの大きな都市を中心に、あと16店舗をオープンする計画だという。

店舗には、ミスター・ビーンの旧式ミニの車のレプリカを置き、壁には番組のスチール写真をたくさん飾っている。

「いくつかの大手コーヒーチェーンとは違い、我々の今後の展開はそれほど劇的なものではありません。それはわたしたちの店はまだ、一種、実験段階だからです」 そうウーは言う。「中国のコーヒーの市場は非情に大きなものです。大きな可能性を秘めています。我々のしてきたことは氷山の一角にすぎません」

しかしウーは、顧客やフランチャイズの店に笑みをもたらす、というコンセプトはすでに成功を見せていると言う。それは類似的な店内装飾やグッズを展開させるコーヒーショップが、あちこちに現われていることからもわかると説明する。

「我々の店は、競争相手から頭一つ抜けています」とウー。「ミスター・ビーンの世界的知名度がわたしたちの店の販促に役立っています。また店のブランドとしても際だっています。それにより、開店以来、利益を保ちつづけているのです」

ウーは、「わたしの会社はタイガー・アスペクトとの間で、マーケティング戦略とブランド戦略を強化することと共に、ミスター・ビーンコーヒーショップをロンドンにオープンすることについても話し合いをしています」と言う。

「成功するブランド展開は、人を他者とは違う存在にすることを基本とします。それには顧客があなたの店に来る理由を与えなければなりません。ミスター・ビーンコーヒーに来れば、質の高いコーヒーや、英国式のアフタヌーンティーやペストリーが味わえるだけでなく、ミスター・ビーンのテディペアやTシャツが持ち帰れる、といったことです」

しかしながら、おどけたキャラクターがひどい失敗を招くことがあるように、SFCとそのフランチャイズ店も落とし穴にはまる可能性はある。

コンセプトの新奇さやその背後にあるユーモアが、通じないことはある、特に中国では。人々をまごつかせたり、見込み客を追い払ってしまうこともある。

ウーはそのリスクもわかっているが、それでもいい結末に自信をもっている。ビーンのユーモアは視覚的要素が強く、人を惹きつけるわかりやすさもある、それは問題の解決法があまり賢くないという、ミスター・ビーンのユニークさからきているものだ。

「ミスター・ビーンはイギリス生まれのコメディの最高傑作といえますが、誰もが彼のことを知り合いの人のように思っているようにも見えます」とウーは言う。「我々はコメディー好きの人たちをターゲットにしているわけではありません。何をしようとしているかといえば、ミスター・ビーンのライフスタイル、暮らしの中にユーモアをもたらすというセンスなんです。たとえ退屈な時間を過ごしているときでもね」

「上海のような大きな都市では、すべてのことが慌ただしく休むいとまもない。ミスター・ビーンはちょっと休みを入れられる、ユーモア溢れる、リラックスできる場所です」

「どんな人も、ミスター・ビーンの片鱗を自分の中にもっている、とわたしは思っているんです」

写真:ミスター・ビーンコーヒーショップでくつろくお客たち。笑いが好きで、コーヒーを飲むことについては、作法や儀式めいたことをあまり気にしない人々をターゲットにしている。(China Daily)

オリジナルテキスト:Comedy cafe Mr Bean puts smiles on lips by 吕畅(Lu Chang / China Daily)
日本語訳:だいこくかずえ

Indexへもどる