|
はじめに <モンゴロイドの歌の世界へ>
モンゴロイドというのは、語源であるモンゴルの人をはじめ日本、韓国、台湾、中国、北極圏に住むイヌイット、北欧やロシア北西部のサーミたち、ポリネシア、ミクロネシアなどの大平洋の島々の人々、そして広くはアメリカインディアン、オーストラリアのアボリジニの人々などのことを言うそうです。
なんでも500万年前にアフリカで誕生した人類の祖先の一部の人々が、100万年前ころにアフリカを出発しユーラシア大陸への長い旅に出たそう。最初は南へ南へと今のインドネシアの当たりまで行き、その後は北上してシベリア地方へ、さらに氷河期のベーリング海峡をわたってアメリカ大陸へと移動したと言われています。
いまは同じモンゴロイドでも、国籍も違い、生活様式や文化も違い、見た目も気象条件や長い間の混血により、かならずしも似た容姿ではなくなっています。でもはるか時をさかのぼれば、たしかに同じ祖先をもつ仲間たちであるということが、最近の遺伝子分析でもわかっているそうです。
そんなことを考えていたとき、ソングライターの3号室ロドリーグさんから、フィンランドのサーミをはじめとするモンゴロイド系の歌い手たちの歌を紹介されました。地図を広げれば北はグリーンランド、南はオーストラリアと地球をまたぐ広い地域に分布するいまのモンゴロイドですが、歌声に耳をすませば、声の質、声の出し方、感情の込め方、イメージのもち方、自然との関係の仕方などに、とても近しいものがあるのを感じます。
ルーツを同じくする仲間たちの歌をひとつひとつ聴いていくことで、自分の中のモンゴロイドを発見したり、知らない過去の記憶にめぐりあったり、そんな耳の旅ができないだろうか。連載のアイディアはこのようにして生まれました。
3号室ロドリーグさんによるエッセイはちょっと風変わりなホームドラマ風とでもいいましょうか、もんごろねことその同居人が対話する形で進行します。歌や声がつたえるもの、その不思議さに耳をそばだて鼻をピクピクさせながら、歌をさがす旅にいっしょにでかけましょう。
(エディター・大黒和恵)
|