"Sous le pont Mirabeau coule la Seine/ et nos amours faut-il qu’il m’en souvienne ?" わたしたちは二人きりだった。いや、わたしは他の女たちに、そこにいる派手な化粧と品のない服をまとった女たちに気づかぬふりをしていた。"Je m’appelle Marika…" そう言うと彼女は笑った。わたしは黙っていた。彼女は茶色の髪で、柔らかい巻き毛が肩に落ちていた。ほっそりとして美しかった。わたしはどうしていいか途方に暮れた。マリカは微笑んでいた。「あまり時間がないんだ」 事をはっきりさせようとそう言った。「もう戻らなくては、、、、」 2、3歩、歩いて振り返った。彼女はそこに立っていた。「今夜がいいかな?」 すばやく言った。「9時ごろでどうだろう」
マリカは笑った。「フランス語だと2100時と言うんじゃなかったっけ?」 その通りだ。わたしはそう言うと振り返ることなく、足早にそこを離れた。
わたしは、当然のことだが、リーディングの時間に遅れた。ヴァシーレの隣の席は空いていた。わたしは見ぬふりをして、いちばん後ろの列の、わたしの方をじろじろ見ているマケドニア人の隣にすわった。わたしは英語で、討議は長いことやっていたんですか、と聞いた。男は笑って、その通りと答えた。詩人たちが自作を読もうとしていたところですよ、と付けくわえた。わたしは詩の朗読に集中できなかった。考えていたのは、、、、わたしは目をとじた。隣のマケドニア人がわたしをつついて、現実に引き戻した。「ちょっと、あなたの出番ですよ」 なんでこの人はわたしの名前を? そうだった、参加者はみんな名前と国名を書いた名札をつけているんだった。わたしの名がちょうど呼ばれたところだった。
どぎまぎして演壇にむかって歩き、、、、、マイクの前に立った、、、わたしはここに、彼女に、この場にいてほしいと感じていた、、。
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