彼女はまもなく現われる。ジャンはイリーナを思い浮かべる、ゆっくりと目の前で服を脱いで、、、。と突然、ジャンは心臓に痛みを感じた。薬はどこだ、早く! まさか薬を持ってきてないはずはない。うずくまり、あえぎながら、スーツケースをかきまわす。ない。妻はいったい薬をどこに入れたんだ。そうだ、思い出した、スーツの中だ、ベッドの上だ。ジャンがベッドに向かって這いずっているとき、誰かがドアをノックした。ドアを開けたわけじゃないのに、イリーナが目の前に立っていた。何とも言いようのない表情でジャンを見下ろしていた。「これがお探しの、生涯の恋人、かしら?」 イリーナは笑っていた。ジャンが見上げる。薬だ! どうやって手に入れた? 昨日話していたときに、ポケットから盗んだにちがいない。ジャンは痛みでからだを折った。有余のない発作だった。イリーナは2、3歩後ずさり、挑んでいるような風。ブルーの長いドレスを脱ぎさり、になった。

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