男はちょっとの間消えたかと思うと、そうとう愛用したように見える古書を手に戻ってきた。ページを繰りながら、絵についてくどくどと説明を始めた。その中の1枚にひどく関心があるようだった。ページを繰る手が震えていた。わたしは覗きこむようにして三つの版画を見た。アテナとディアナとヴィーナスの絵を。ヴィーナスの模写がわたしを捉えた。わたしの口元がゆるんだ。その風変わりな版画は豊かな胸とごく薄い腰布を下半身に巻いた女神を描いていた。わたしは自分の反応を胸にしまった。


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