男は本や紙でおおわれたテーブルに目をおとしていた。と、突然、顔を輝かせた。 「ああ、そうだ、誰かが言っていたな、あなたはギリシア語の先生とか、、、」 男の声には賞賛の気持ちが込められていた。わたしは意地悪な口調で答えた。 「そのとおり、、、ギリシア語、ラテン語、フランス語を教えてるの。そういうしろものをあれこれと。で、それが?」 男は答えなかった。わたしの冷たい返事がきっと会話をつづける気持ちを萎えさせたのだろう。 「あー、あなたがギリシア語をねぇ、、、」 男は頭をふった。次に男が口を開こうとしたとき、わたしはピシャリと言った。 「そうよ、そうなんです、だから仕事がいっぱいあるんです」 男はわたしの言った意味がわかってないようだった。もごもごと口を開いた。 「あ、あなたなんです、わたしがちょっと前、待っていたのは。あなたを驚かせてしまった、でしょうね。どうぞ許してください」
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