家にもどると、ああと深いためいきをついて、自分の職業に悪態をつきつつ(わたしは古典の教師)、自分を元気づけて仕事にとりかかろうとした。。。。
 ちょうど何人目かの生徒の課題に手をいれているときだった。やればやるほど失望させられる解答に落ちこんでいく気持ちをなんとか引きあげようとしていた、そのとき、とんとんとんと小さくドアをたたく音がした。
 想像はついた。あの男だった、やっぱり。気の毒なくらい当惑して、目を地面におとし、顔を上げようとしない。ドアの前に放心して立っていた。


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