翌日、何てことだろう、また階段のところで男に会ってしまった。男は昨日に増してぎこちなく見えた。
 「考えてもらえました?」
 「考えるって?」
 「わ、わたしの申し出ですが、、、昨日の」
 何と答えればいいのだろう。この男はわたしの答えを待って、毎日わたしをつけ回す気だろうか? よく考えもしないで、昨日答えてしまったのは、まずかった。ことを反芻してみる。何かに扮装して、役をこなすこと、それはちょっと面白そうだ。やったからといって別に損するわけじゃないし、わけのわからないことをするのも嫌じゃない。わたしの態度が和らぐと男のぎこちなさも消えた。とんでもないことに首を突っこむときみたいに、わたしは早口で言った。
 「いいですよ」
 男は心から驚いた風だった。
 「ほんとうに? いいんですか? いつにします?」
 「あなたさえよければ、すぐにでも」
 「はい、そうしましょう。なんてことだ」


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