<移民系>

ワールドカップなどの国際試合では、国を背負って、という言葉がよく使われるが、ヨーロッパのプレイヤーを見ていると、国籍はある程度便宜的なものに見えてくる。たとえばジダンはアルジェリア移民二世の、エブラはセネガル生まれのフランス代表、エブラはセネガルの国籍も持っている。今回のアルジェリアチームの多くの選手はフランス生まれだが、両親の出身国であるアルジェリアに選手登録している。ドイツにはジェローム・ボアテングというDFがいるが、ガーナ代表には異母兄弟のデレク・ボアテングという兄がいる。兄のボアテングもドイツ生まれであるが、ガーナ代表に登録している。ドイツ代表は移民やハーフの選手がこのところ増えて、選手の質にバラエティをもたらしているそうだ。今大会で活躍したエジルは両親がトルコ人、ドイツとトルコの両国籍を持つ。カカウはブラジル生まれでやはり両国籍を持つ。ゴメスはスペイン人、ドイツ人のハーフで両国籍を持つ。以前ならこうした選手は代表に選ばれなかったそうだが、ここ10年で事情は激変したという。日本にも在日コリアン四世の李忠成選手ががいて、日本の国籍を取得して北京オリンピックに出場している。日本A代表の三都主や闘莉王などはスカウトによるブラジルからのサッカー留学生。いずれにしても、サッカーのために国籍を選ぶことも今では珍しいことではなさそうだ。「国を背負う」ことの意味も薄まっているのかもしれない。

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