<日本代表 1>

1998年のフランス大会でワールドカップ本大会初出場を果たした日本は、その後も2002年(自国開催のため予選免除)、2006年、2010年と連続出場を達成している。1929年のFIFA加盟、1954年の初参加以来、数限りないアジアでの予選敗退と二度の本大会グループリーグ敗退の半世紀を経て、今大会では自国以外の地で開催国の特典なしにベスト16に入った。大会直前の欧州での合宿後に、岡田監督はこれまで2年に渡って進めてきた方針と理想を捨て去り、「やりたくないサッカー」と公言してきたスタイルをあえて選んでの戦い方を南アフリカでやってみせた。それで期待以上の成果を達成したのだから、今となっては正面切ってそのやり方を非難する人は激減したし、勝てたことへの評価の方がずっと上回っているはずだ。元はと言えば、土壇場で方針転換をしなければならなかった原因は、自分のチームを世界レベルの中に置いたときの力量を見誤っていた、という驚くべき誤算にあったらしい。日本代表のアウェイでの国際親善試合の少なさは前から感じていたが、他の国に出向いて国際親善試合を組むことは、日本のスポンサーの賛同を得られないため(広告効果が発揮できない)難しいと聞いている。サッカーはその国の国民、企業など国の構成員の思想と深く関係している、ということに気づかされる話だ。アウェイでのベスト16を得た日本代表には今後の活躍を期待したいが、チームとしての経験がどのように受け継がれていくのか、歴史として刻まれていくのか、見えにくいところもある。

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