飛行機で、ぼくのとなりに英国婦人が座っていた。ぼくが眠りそうになるのを見て、たなから毛布を引っぱり出して、ぼくにくれた。「どうも」とぼく。「でも暖かいからいいです」「暖かさのためじゃないの」とその婦人。「心理的にね、心地いいのよ。お家にいるみたいにね」


      自由の女神
      アイスクリームをさしだす
      ヘリコプターに向かって

      Statue of Liberty
      offers an ice cream
      to a helicopter


ロシアでの休暇のすぐ後、ニューヨークで、ひどい頭痛になった。その2日前、父と釣りに行った。カワカマスをつかまえ、新鮮な空気の中ですばらしい時をすごした。それでその直後の飛行機と、何の臭いかよくわからない臭いがするニューヨークの街ってわけ。



      ユーロアジアンなニューヨーク
      リトルイタリーとチャイナタウンの間にある
      グランドストリートの残飯のはなし

      Euroasian New York:
      between Little Italy and Chinatown -
      garbage of Grand Street



アレクセイからのメール
(Wed, 22 Dec 1999 22:01:14 +0300):

このハイクはポール・メナのハイクのパロディーでもあるんだけれど、もうちょっと深い意味もある。
ユーラシア大陸の地図をひろげると、イタリアと中国の間には、大きな国が横たわってる。ロシアなんだ。で、ニューヨークでそのことに気がついたとき、リトルイタリーとチャイナタウンの間には何があったけ?って思った。それはちっぽけでキタナイ通りだったんだけど、名前が「グランド・ストリート(大通り)」っていうんだ。このハイク、ロシアのステレオタイプなところをちゃかしてもいて、つまり何にでも「グランド(偉大な)」という言葉をつけてしまうロシアをね。「偉大なるレーニン」「偉大なる10月革命」「偉大なるロシア民族」という風に。でもヨソの国から見たら、ぼくらの国なんかゴミの山同然かもしれないのにね。


      目をとじて
      ロッキングチェアーで3分間
      ひとの家でちょっとお休み

      with my eyes closed
      three minutes in a rocking chair
      in someone else's home



「グラマー」誌をペラペラ見ながら、コインランドリーにいたときのこと。白髪まじりの男が入ってきて、洗濯機と乾燥機をじっと見つめている。そしてぼくに、この機械の使い方を説明してくれないかと言ってきた。で、ぼくも最近覚えたばかりの使い方を教えた。男は外国人にも田舎もんにも見えなかったけど。たぶん、いつもは誰かが洗濯をしてくれているんだけれど、きょう初めて、自分でやらなくちゃいけなくなったんだな。ぼくが帰ろうとすると、男がぼくに手をふった。



      洗濯のあと、
      シミは目立たなくなった
      けど、まだ見えるな

      after laundry -
      some stains are less visible
      but visible

      =back=