早朝。駅からの道を家に向かって歩いている。町はカンペキな静けさ。ぼくの足音だけがひびく。と、そのとき、何かがはじけた。ぼくの周りの家々で、3個、4個もの目覚まし時計が、7時を告げて鳴りだした。そして、また静寂。でももう、さっきの静けさは、どこかへ行ってしまった。



      春の朝
      ながしで はずした
      きみの時計

      spring morning -
      your little watch
      left on the edge of the sink





        飛行機で
        レモンを想う
        離陸中

        the plane is taking off -
        I'm thinking about lemons


    芝刈り国め
    ちょっとは残して
    草の葉を

    country of lawnmowers,
    did you leave any
    leaves of grass for me?



アメリカに来て、印象的だったことのひとつ。いたるところ、季節を問わない、芝刈り。ハイウェーが交差する岩がごろごろした急斜面で、草刈りしている人たちを見たことがある。10月の末の、もう草なんか生えなくなる時期に、芝を刈っているのを見たんだ。墓地でやってるのを見たことだってある。


    墓石のあいだに
    芝刈り男・・・わかってんのかな?
    どれ刈っていいのか

    among gravestones
    a lawnmowerman... how does he know
    which flowers to cut?


アレクセイからのメール
(Thu,16 Dec 1999 16:07:12 + 0300):


このハイクは、ぼくがアメリカに来てはじめて書いたハイクのひとつ。"did you leave any leaves of grass for me?" は、ウォルト・ホイットマンがアメリカの自由をうたった有名な詩集"leaves of grass"(「草の葉」)に引っかけて書いた。



すておかれた あやつり人形たち
糸は ゆるみ からまりついて
なんて 自由 なんて 孤独

forgotten puppets
with loosened and tangled strings
so free, so helpless





もくもく…
いやまだまだ・・・ニヤニヤ
ぼくの ホットケーキ

cloudy...
yet I resist - smirking
I bake my pancakes

=back=