ピッツバーグで、95年度国際美術展を見た。そこで気がついたのは、絵がつまらなければつまらないほど、ガイドの話がおもしろくなること。セメントでおおわれた家具を描いた一枚の古い絵のところでは、これは暴力を象徴していますなんてことさえ聞くチャンスに恵まれた。ほんとに面白い絵については、ガイドは「これといった説明」はなし、ですねと言った。『裸の王様』のことを思い出してしまった。


    解説するガイドさん
    背中で絵を
    見る人たち

    listening to the guide
    they let their backs
    watch the painting





詩人の 苦労多き 一日
愛用の水鉄砲で
でかい雪片 打ちおとす

poet's hard day:
shooting these huge snowflakes
with my water gun





    雨ふる夜
    水たまりに映る ランタン
    壊れては一つになり

    rainy night
    lantern in the puddle
    tries not to fall apart





はぐれ犬
ぼくの後ろを またついてくる
ぼくがふりかえったからさ

stray dog
starts following me again
after I look back





    クリスマスの朝。鏡の中に
    新品のかみそりをもった
    サンタクロース

    Christmas morning: in my mirror
    Santa Claus with a new razor





凍る滝みて
スキーヤーも
ハンカチとりだす

the view of frozen waterfalls
- a skier pulls out
his handkerchief





    ニューイヤーズ・イブ
    街路灯の下まで行って
    時間をたしかめる

    New Year's Eve
    walk to the nearest lamp-post
    to check the time

    =back=