はつ雪や
家への道々
車の屋根に波をかく

first snow -
walking back home I draw
waves on car roofs




ちょっと風くん!
ぼくは木じゃない
かさは葉っぱじゃない

hey wind !
I'm not a tree and my umbrella
is not a leaf!





      小さな電話帳
      電話ボックスのそばの 雪の中
      落とした、それとも捨てた?


      a pocket phone book
      in the snow by the phone booth
      lost or thrown?





    11月の風
    アート・インスティテュートのライオンたちさえ
    緑にそまる


    november wind
    even lions by the Art Institute
    are green


朝の8時30分、シカゴでのこと、ぼくはアート・インスティテュートのそばで長い行列に出会った。モネの展覧会。チケットは完売、その列は臨時チケットを待っていた。寝袋をもって朝の5時に来た男たちもいた。10時30分、開場。警官が来て、きょうの臨時チケットはありません、と言う。人々はゆっくりと散っていったけど、ぼくは、モネを見たいっていう自分の気持ちが「いいヤツ」になることより、ちょっぴり上回っているなと判断。で、ぼくは歩いていって、展覧会場の「不正」ドアから中に入った。もしキミが外国人だった場合、なんならEXIT(出口)の意味がわからないふりをすることができるってこと。



18個の百合の池に
かこまれた
死ぬのに完璧な場所

surrounded by
18 lily ponds
perfect place to die





    『死の床のカミール・モネ』
    音声ガイドをつけた少女がささやく
    「わたしは、もう、いない・・・」

    Camille Monet on Her Death Bed
    a girl with an audio-guide whispers:
    "I'm not here yet..."


*実は、この女の子は早く歩き過ぎていて、音声ガイドが見ている絵に追いついてない状態だったそう。それで、女の子は「わたし、もう、そこにいない」と言ったのが真相。






    老齢の女性
    ライオンのしっぽにつかまって
    頂上へ最後の一歩

    an old woman
    ascends the last step leaning
    on the lion's tail

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