<レフェリー>

サッカーにおけるレフェリーの役割は、サッカーの基本ルールに則って試合の開始や終了を合図したり、試合中に起きる反則を監視、警告したり、ゴールやタッチラインでのボール位置を判断したり、ジャッジを通じて試合全体をコントロールすることだ。しかしルールに則って行なわれることであっても、一つ一つの判断は個々のレフェリーの裁量によってなされ、解釈されるわけで、ときに事実との食い違い、誤審や微妙な裁定も下される。今大会でも決勝トーナメント1回戦のドイツ、イングランド戦でのゴール判定、アルゼンチン、メキシコ戦でのオフサイドの見逃しが大きな話題となった。どちらも誤審だったことが再生映像によりFIFAによっても認められた。誤審のあったプレイは直後に、スタジアムの大型スクリーン上で繰り返し再生され、観衆もそれを見ていた。判定はくつがえらなかったので、誤審のまま試合は進んだ。レフェリーのミスはサッカーでは珍しいことではない。そのせいで試合の流れが変わってしまうこともある。試合にビデオ判定を取り入れる議論もたびたび起きている。ひとつ言えることは、カメラワークやビデオ再生により、誤審の事実が観衆や視聴者にも共有されていることだ。現実社会では「誤審」が起きても、それを市民、国民が判断できる素材として提供されることはない。「間違いがなされない」ことも大切だが、起きた間違いがそのまま公開され、すべての人に共有のものとされることにも大きな意味があると思った。

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